清流・早月川を上流へとたどると、みのわ温泉が見えてきた。春には桜が咲き、冬は水墨画のような雪景色が広がる山あいの滑川市蓑輪に位置する。男湯には剱岳、女湯には行田公園のハナショウブの大きな写真が飾られ、地元の自然豊かな風景を横目に湯に漬かれば心が癒やされる。

壁面に描かれた剱岳

行田公園のハナショウブが描かれた女湯
「まるで一軒家みたいでしょ?」。女性スタッフの一言に深くうなずく。みのわ温泉はお風呂だけでなく、食堂のご飯、訪れる人の笑顔までもが温かかった。
館内には、カレーやオムライス、そばなどを提供する食堂「レストランみのわ」がある。常連という70代と80代の姉妹は「朝に来てお風呂に入って、食堂でお昼ご飯を食べて、ゆっくり休んで帰る。ほぼ丸一日いますよ」と言う。居心地の良さから長く滞在する客も多い。
真心の味
中でも食堂は、昔ながらの味でおいしいと評判だ。蓑輪地区生まれの塩満(しおみつ)すみこさん(75)が調理を担当し、「できたよー」と大きな声を響かせる。
残り1553文字(全文:1985文字)