台風10号がゆっくり進んでいる。31日朝の富山地方気象台の発表によると、台風10号は9月1日にかけて西日本を東に進み、その後は熱帯低気圧に変わる見込みだが、富山県では暖かく湿った空気が流れ込み、大気の状態が不安定になりそうだ。県内では、31日昼前から9月2日にかけて警報級の大雨になる可能性もある。ノロノロ台風にやきもきする週末になりそうだが、防災対策を見直すチャンスと前向きにとらえ、非常用品や避難場所を確認したい。基本的な備えなどをまとめた。

気象庁台風情報

避難場所の確認

 ハザードマップで自宅周辺の浸水リスクや土砂災害警戒区域になっていないかなどを確認するとともに、学校や公民館など、避難場所として指定されている場所への避難経路を調べておくと、いざというときにあわてずに済む。勤務先や外出先などの近くの避難場所も調べておこう。浸水の恐れがあるエリアでは、ハザードマップで浸水の深さもチェックしたい。

 家族全員が自宅にいるとは限らないため、非常時の行動や連絡方法を話し合い、ハザードマップも紙に印刷して各自が持っておくと安心だ。

 知人や親せきが安全な場所に住んでいる場合、そこに身を寄せることも選択肢になる。事前に相談しておきたい。

大雨・強風の前に

・強風で飛ばされやすい物が屋外にないか確認し、できるだけ屋内に移動
・屋内に入れることができない大きな物はロープで固定
・窓や雨戸はしっかりと鍵をかけ、必要に応じて補強
・側溝や排水口は掃除して水はけを良くする

 大切な家財道具を2階に移動させておくことも大切だ。土のうや水のう、止水板を用意しておけば、住居や敷地への浸水を軽減できる場合もある。

 窓ガラスに飛散防止フィルムやテープなどを貼ったり、カーテンやブラインドを下ろすことで割れたガラスで負傷するリスクを減らすこともできる。

非常用品の確認

 非常用品は大きく分けると、避難時に持ち出す1次持ち出し品と、避難所などで生活する際に使用する2次持ち出し品がある。非常用持ち出し袋には、貴重品や身分証、最低限の食料、水、救急用品、懐中電灯など1次持ち出し品を詰めておく。

 水は1日1人3リットル必要とされており、最低3日分、できれば1週間分を用意したい。生活用水は浴槽のお湯を残しておくことでも確保できる。食料は停電や断水に備えて調理の際に加熱や水が必要ないものを中心に選ぶ。

 避難に時間がかかる家族がいる場合や、ペットを飼っている場合など各家庭の事情によって必需品も変わってくる。おむつや生理用品、障害者手帳、眼鏡、コンタクトレンズ、ミルク、ほ乳瓶など、自分や家族に必要なものがないか、災害が迫る前にじっくり考えよう。車のガソリン補給やスマートフォンの充電のほか、マスクや消毒液、ウェットティッシュなども忘れないようにしたい。

 新たに購入する暇がない場合、家の中にある使えそうな物を持ち運びやすいようにかばんに詰めておくだけでも、簡易的な備えになる。

 日ごろから、一定量の備蓄を保つローリングストックなどを心掛けておくと、台風接近前に準備する品が少なくて済む。

主な非常用品
・貴重品、身分証
・懐中電灯、携帯用ラジオ(乾電池式)、予備の電池、スマホの充電器やモバイルバッテリー
・常備薬、救急用品
・飲料水や生活用水
・非常食(乾パンやクラッカー、レトルト食品、缶詰など)
・ライター、ろうそく(火災に注意)
・ヘルメット、軍手
・雨具、着替え、タオル
・現金・小銭
・トイレットペーパー
・携帯トイレ
・カセットコンロ、カセットボンベ

不要な外出避ける

 大雨の際、用水路や近くの河川、海、山の様子を見に行き、事故に遭うケースがあるほか、冠水した道路では、側溝やふたの外れたマンホールに気付かず転落する危険がある。

 大雨が降るとアンダーパスに水がたまり、通行できなくなる可能性もある。気付かずに車で進入すると、水に漬かった車が故障し、身動きが取れなくなるかもしれない。

 暴風になると、風で飛ばされた物にぶつかる恐れがあるほか、風にあおられて転倒したり、車が横転することもあり得る。不要な外出は控え、台風対策は風が強くなる前に行うことが基本だ。

災害が迫ってきたら

 災害の危険性を直感的に判断できるようにするため、5段階の警戒レベルがある。住民がとるべき行動と、気象庁が発表する警報等や市町村が発表する避難情報等を関連付けている。内閣府の「避難情報に関するガイドライン」を基に、警戒レベルと警報等の関係を図にまとめた。

 

 警戒レベル3の高齢者等避難は、避難に時間がかかる家庭では避難を開始する目安だ。それ以外の家庭でも、いつでも避難を開始できるよう準備し、危険を感じたら自主的に避難を始める。

 警戒レベル4に当たる情報が出た場合、危険な場所からの避難が必要だ。中小河川の氾濫や土砂災害などは一気に起こるため、避難が遅れると、命にかかわる。早い段階から避難するようにしたい。ただし、避難指示の有無にかかわらず、避難ルートが安全とは限らない。周囲の状況を自分の目で確かめ、安全なルートを選ぶことが重要だ。

 警戒レベル5は既に災害が発生して命の危険が迫っていることを示す。安全に避難できるかどうかは分からない状況だ。水没のリスクが低い自宅2階に移動するなど、できる範囲で自分の命を守るしかない。そんな事態を避けるには、こまめに防災情報等をチェックし、レベル4までに避難することが鉄則だ。情報を得るには、下記のサイトが参考になる。使い方を確認しておきたい。

気象庁HP「防災情報」
川の防災情報
富山防災WEB
富山河川国道事務所HP
水害リスクライン

※内閣府「避難情報に関するガイドライン」、気象庁ホームページ、これまでの取材などを基に作成しました。