令和の時代にあって昭和やバブルの趣が残る場所は不思議なノスタルジーを感じさせる。富山市出身のYouTuber、のぶりんさんは日本各地を旅して、かつての繁栄のにおいを思い起こさせてくれる場所を巡る。YouTuberとして活動する経緯や動画制作の背景を聞いた。(聞き手・田尻秀幸、撮影・さいとう写真事務所)

——再開発に失敗した街や、かつて栄えていたけど今はひっそりとした街を巡って、動画で紹介していますね。再生数が160万回近いものもあります。

 元々、旅が好きだったんですよ。夜行バスで三重に行ったり、青森に行ったり。全国を旅行して魅力的だったのは、観光名所よりも寂れたスポットでした。にぎわっていたけど、人がいなくなってしまった場所だったんです。廃墟って哀愁と独特の美しさがありませんか。未来の断片みたいなものが感じられる。

 

 

 ある時、バブル期にできた越後湯沢のリゾートマンションの惨状を紹介する動画を目にして、自分でも見に行きたくなりました。それと同時にこれを自分もYouTubeでやってみたら「回る」のではないかと思い立ったんです。

——YouTubeはいつから?

 一昨年の10月ですね。

——今、大学は?

 去年の夏頃に辞めちゃいました。親には反対されましたけどね。高校生の頃から漠然と起業したいと思っていたので勉強よりも仕事をしたかった。意識高い系ですね。

 

 

——ということは、YouTubeを始めて1年もしないうちに大学を辞めたんですか

 1本目の動画が一気に90万回再生されたんですよ。それで「これで食えるんじゃないか」と思いました。僕の動画の視聴者層は30から60代の男性がメインです。コメントを見ていても、インテリが多いという印象です。購買力がある人たちなので広告単価が高いんですよ。YouTubeは1再生あたり0.1円と言われていますが、僕の場合は0.7円とか、1円とか。少ない再生数でも、それなりに利益が出る。

——不安は?

 ほとんどないですね。その1本で何十万円と稼いじゃったんで。「旅をしながら生活できるのでは」と思いました。元々、趣味でTikTokでゲーム実況とかやっていたんですよ。動画を作る楽しさも知っていたので、YouTubeで生活できるならやるしかありません。

——どうやってコンテンツを磨いていったんですか。

 

 

 最初は真似です。パクリです。オリジナリティーなんてなかった。尊敬する大好きなYouTuberの方の動画を意識して作っていたら、ご本人から「パクリだ」と指摘されました。ネタも編集も真似していたので、そう言われても仕方なかった。だから率直に謝罪させていただきました。そこからは自分でリサーチしているし、自分なりの編集を意識しています。

——どうやってリサーチしているんですか。

 視聴者さんのコメントで情報をいただきますし、

残り116文字(全文:1447文字)