第118回日展の洋画と工芸美術、書の各部門の入選・特選が19、20の両日に発表され、県関係で計7人が初入選した。

 初入選したのは、工芸美術部門の中杉直美さん(62)=富山市町村=と小久保惠子さん(78)=射水市三ケ。書部門の吉居真吾さん(52)=富山市五福=と森谷幸子さん(67)=高岡市木津、酒井麻見さん(64)=上市町南町、本名・立田麻美、石坂加代子さん(53)=立山町二ツ塚、瀬川梓さん(43)=富山市出身、金沢市、本名・あづさ。

 羊毛で人形を制作する中杉さんは初出品。ほほ笑む女性を膜が包み込む「羽化」で入選を果たした。「さなぎからチョウになる姿を表した」と言う。小久保さんも初出品で「自分で自分を褒めたい」と喜ぶ。入選作のつぼ「暁雲(ぎょううん)」は、立山連峰に懸かる雲に朝日が反射する光景を、黒や白の粘土、釉薬(ゆうやく)の赤で表現した。

 篆刻(てんこく)作品「白駒遠志」を出品した吉居さんは「勢いの良さを心がけた」と振り返る。森谷さんの書「滌氛(てきふん)」は、戦争やネットの誹謗(ひぼう)中傷がなくなってほしいとの思いを込めた。「これが書きたかったと思えるような作品を書けるようになりたい」と語る。

 酒井さんは混迷の時代を切り開くことを願い「旭影」の文字を力強く表現した。「書を通して自分に向き合い、深みのある線を求めていきたい」。石坂さんは、有峰湖の美しさを詠んだ自作の詩文を調和体でリズミカルに書き上げた。「自分らしい元気な書をこれからも究める」と意気込む。瀬川さんは王漁洋の詩を長さ3・5メートルの巻子(かんす)に書いた。「集中を切らさないよう気を付けた」と言う。

 洋画は1372点の応募があり541点が入選、うち60点が初入選。工芸美術は応募587点、入選457点、初入選33点。書は応募9059点、入選1136点、初入選172点だった。日本画と彫刻部門は23日に発表される。日展は31日~11月23日に東京・六本木の国立新美術館で開く。