本紙文化面の連載企画「たてものに会いにいく」は、建築家のナビゲーターと県内の建造物を巡り、魅力に迫っている。webunプラスでは、ナビゲーター自身の横顔や紙面で書き切れないエピソードを紹介する。第14回は富山市に「神田謙匠(けんしょう)建築設計事務所」を構える神田謙匠さん(35)。紙面では砺波市の出町子供歌舞伎曳山(ひきやま)会館を紹介してくれた。

事務所で笑顔を浮かべる神田さん=富山市太田口通り
神田さんは滑川市生まれ。実家は工務店を営んでおり、子どもの頃は廃材で秘密基地を作って遊んでいた。ものづくりに自然と興味を持ち、富山工業高校建築学科に進んだ。
学生コンペで全国1位
紙面で紹介した出町子供歌舞伎曳山会館と出合ったのは約15年前、金沢工業大で建築を学んでいた頃だった。同大の教員だった森俊偉(としひで)さん(76)が設計したと知り、友人と共に完成したばかりの会館を訪ねた。「大きな屋根がとにかくかっこよくて、衝撃を受けた」と振り返る。
この訪問がきっかけで森さんのゼミに入り、同大大学院に進んでさらに深く学んだ。在学中には学生向けの全国コンペで1位を取ったことも。指導した森さんは「神田くんはとても真面目な学生だった。社会に出たゼミ生が活躍しているのはとてもうれしい」と話す。
柔軟な使い方をデザイン
大学院修了後、濱田修建築研究所(富山市)を経て2021年に自らの事務所を設立。高校時代の友人からの依頼で、富山駅前にある雑居ビルの一室をバーにリノベーションした。特徴は複雑な雲の形をしたカウンター。
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