「小島慶子の上々エブリデイ」はwebunプラス有料会員向けコンテンツですが、今回のコラムはどなたでもお読みいただけます。

  ◇   ◇   ◇

  元日に起きた能登半島地震で被災された方々が、1日でも早く暖かく安全な場所で眠ることができるよう、心から祈ります。読者の中にも、揺れと津波の恐怖を経験された方がいらっしゃるかと思います。どうか少しでも心と体を休め、身近な人と声を掛け合ってお過ごしください。

 災害時には、情報が人命に直結します。SNSで公的機関や報道機関などのアカウントをフォローすれば、緊急情報を迅速に集めることができます。ただ、ネット上には偽情報やデマも多いので、慎重に見極めることが肝心です。親しい友人や身内の投稿でも、鵜呑みにするのはやめましょう。

 知人から「こんな投稿を見つけたよ」と送られてきたものは、まず元の投稿のアカウント主と、情報の出所をチェック。不明なら、誤情報や偽情報かもしれません。投稿の内容が事実かどうか気になったら、公的機関や大手メディア、地元紙などのアカウントを複数確認して、同じ内容の発表や報道があるかどうか調べてみて下さい。検索機能を使えば簡単にできます。もしどこにも同様の情報が見当たらなければ、投稿をシェアせず、経過を観察しましょう。少し時間が経つと詳しい状況が判明し「さっき回ってきた投稿は正確な情報ではなさそうだ」とわかることが多いものです。誤情報や偽情報をうっかり拡散すると、避難や救援の妨げになり、人命に関わりかねません。また、混乱に乗じて差別や暴力を煽る行為に加担してしまいかねず、十分に注意が必要です。

 SNSには良い面もあります。震災などで避難生活を経験した人が、被災した人たちに向けて励ましの言葉や避難所で役立つ工夫を投稿しています。被災者の経験談を時間をかけて集め、整理した情報にして発信している報道機関などのアカウントもあります。不安なときは不安を煽る情報に目が行きますが、情報源をしっかり確かめてよく考えてから温かな言葉と正確な情報を広げれば、少しずつ心が落ち着き、誰かの支えにもなれるかもしれません。

(毎月第1金曜掲載)

こじま・けいこ 1972年、オーストラリア生まれ。エッセイスト、タレント。東京大学大学院情報学環客員研究員、昭和女子大学現代ビジネス研究所特別研究員。元TBSアナウンサー。近著に対談集「おっさん社会が生きづらい」(PHP新書)。