minato kitchen マネージャー
大坪 史弥(おおつぼ ふみや)さん

1989年生まれ。富山県射水市出身。2015年に県外からUターン。17年にグリーンノートレーベル株式会社に入社し、富山に魅力的な場を増やす企画や運営を行う。22年10月に富山県射水市でお魚専門シェアキッチン「minato kitchen」を立ち上げ、運営をしている。好きな魚は鰯と太刀魚。趣味はサウナ。

 富山といえば「魚がおいしい」と思い浮かべる人も多いのでは。漁業の盛んな射水市新湊地域に誕生した新たなスポット、minato kitchenのマネージャー 大坪史弥さんにお話を聞きました。


ーminato kitchenはどんな場所ですか?
 minato kitchenは、お魚専門のシェアキッチンです。チャレンジキッチン、ワークショップキッチン、商品開発・販売の3つの取り組みを行っています。生産者と料理人と消費者、みんなが「魚を食べる」をテーマにフラットにつながることができる機会づくりを行っています。食材をどう扱ったらおいしくなるか、どんな商品にできるか、人と人とのコミュニケーションの中で新しいものを生み出していく共創の場にもなっています。

 魚の仕入れなど、ここは都内では再現できないような食の価値がとても高い地域です。“ならでは”の地域資源の価値をどう高めるかを共創し、地域活性にアプローチしていけるのではないかと思っています。


ーまさに新湊らしい“魚”がコンセプトの場づくりをマネージャーとして担う大坪さん。動き出してみて感じていることはありますか?
 私の母が新湊出身というご縁で「新湊がもっとみんなからすごいと言ってもらえるような地域にしたい」という想いがあるので、やりがいを感じています。でも、実はマネージャーを任された当初は不安ばかりでした。漁業のことも分からないし、魚がどのようにして消費者の手元にくるのかも知らなかったので。分からないことを一つ一つ交流の中で解決しながらここまできました。徐々に業界の面白さにハマっていって、競りの見学など水産業界の勉強をさせてもらっています。

 これまでも「新湊といえば魚」というイメージはばく然とあったけれど、漁港のそばで働いたり、実際に採れたての魚を自分でさばいて食べてみたりする中で、本当に価値の高いものを扱うことができているんだなと改めて感じました。魚のおいしさは鮮度によってそんなに変わらないのではと思っていたけれど、全然違いました。知れば知るほど素晴らしく、もっと広く知ってもらいたいと思います。


ー県内でいくつかの“場づくり”に取り組んできた大坪さんが考える“いい場所”のポイントは?
 2017年の入社から今に至るまで、氷見市の移住受け入れ支援「氷見市IJU応援センターみらいエンジン」や、高岡市のコワーキングスペース「COMSYOKU(現在は休業中)」のマネージャーを経験し、多様な“場づくり”に当事者として関わってきました。

 これまでの経験の中で、誰かと誰かが出会って何かが生まれるような偶発性の高さは一つのポイントだと感じています。結局“来る人”が大事ですね。もちろん建築などのハード面も大切な要素ではありますが、結局そこに人が来ないかぎり場所は盛り上がらないのではと思っています。だからこそminato kitchenも、もっとラフにお魚に関わってもらえるような仕掛けを意識しています。コーヒースタンドのように気軽に立ち寄っておいしいお魚を楽しんでもらえるような場所にしていきたいですね。


ー今後の展望を教えてください。
 全国の人たちに「富山県は魚と仲の良い県だな」と思ってもらいたいです。魚との持続可能な付き合い方に関心を持っていたり、日本一食べ方が上手だったり。単なる消費だけじゃなく、魚を使って何かを生み出せる人たちが富山から全国へと増えていくといいなと思います。

 例えば、minato kitchenでお魚を仕入れて今までプロデュースした県内の飲食店とおいしい食べ方を共有する機会をつくったり、富山の魚を使いたい県外のお店とコラボレーションをしたり。minato kitchenを通していろんな場所や人がつながり、商品開発や新たな動きをつくっていけたらいいなと思っています。

文・徳田琴絵(うみとやまローカルラボ ツアーコーディネーター・富山オタクことちゃん)
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富山オタクことちゃんの編集後記
いつも気軽にフラットに会話を楽しませてくれる大坪さんは、minato kitchenにおける“いい場所”の一つの大切な要素だと私は感じています。皆さんもぜひ、minato kitchenで富山のおいしいお魚の食べ方を知りに行くとともに、大坪さんとの会話も楽しんでください!
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