富山の本好きにはおなじみの「BOOK DAY とやま」が10年目を迎えた。古本市に加え、ユニークなコーナーやトークショーなど多彩な催しを展開。本好きから愛されるイベントになった。2020年からは富山駅構内に会場を移し、観光客にも喜ばれている。実行委員会代表を務めるのは古本いるふ(滑川)の店主、天野陽史さん。自身が古書店を開くという決断もBOOK DAYに後押しされたという。(聞き手・田尻秀幸、撮影・竹田泰子)

——BOOK DAYの会場が富山駅に変わりました。客層や雰囲気に変化はありましたか。

 

 グランドプラザでやっていた時は、イベントを目当てに本好きが集まってくれたという印象です。今は、仕事や学校の行き帰りにたまたま関心を持ってくれた人が目立ちますね。こんな理念を考えて駅でやったわけではないですが、「本好きじゃない人が本を好きになってくれる」という期待が高まっています。

 県外のお客さんにも喜ばれるんですよ。改札から本棚がずらっと並んでいる景色が見えるんだから、何事かって思いますよね。

 

 県外からの出店者にも「富山って文化度高いですね」と言われます。よそではなかなか駅ではできないのかもしれませんね。あと、こちらはただ即売会をやるのではなく、DJに会場の音楽を担当してもらったり、トークショーのような企画もやったりしています。そこもポイントでしょうね。

——BOOK DAYが10年目で、ご自身が滑川で経営している古本いるふは5年目を迎えました。

 

 店がある滑川の瀬羽町通りは今特殊な状況になっています。お店が毎年一つはオープンしています。古道具店があって、カフェがあって、うちがあって。最近は食堂やパン屋さんができましたね。

 人が人を呼んでいる状況が続いています。どうしてですかね。富山市内より家賃が安い割に、中心部から近いというのもいいんでしょうか。平日はそれほどでもないけど、土日は結構お客さんが来るんです。

——お店はどういう方針で本を棚に並べているんですか?

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