富山の本好きにはおなじみの「BOOK DAY とやま」が10年目を迎えた。古本市に加え、ユニークなコーナーやトークショーなど多彩な催しを展開。本好きから愛されるイベントになった。2020年からは富山駅構内に会場を移し、観光客にも喜ばれている。実行委員会代表を務めるのは古本いるふ(滑川)の店主、天野陽史さん。自身が古書店を開くという決断もBOOK DAYに後押しされたという。(聞き手・田尻秀幸、撮影・竹田泰子)
 

——「BOOK DAY とやま」が10年目を迎えました。これだけ長く続くのは素晴らしいことです。天野さんとBOOK DAYの関わりはいつからですか?

 僕は結婚を機に地元の愛知から黒部に引っ越しました。ちょうど10年前のBOOK DAYが始まった年ですね。地元にいた頃から会社勤めの傍ら、古本市に顔を出したり、運営を手伝ったりしていた。当時から古書店の経営に憧れていました。

 BOOK DAYに行ったきっかけはチラシですね。主催する古書店で初回のチラシをもらい、遊びに行きました。勢いで打ち上げにも参加しちゃいました。お酒の席で「僕も古本屋をやりたいんですけど」と打ち明けると、「もうからないから絶対にやめておけ。富山ではやっていけないから」と脅された。心の中では「あんたたちはやっているじゃないか」って思っていましたけど(笑)。

 

 結局、そこで仲良くなったお店からアドバイスをもらったり、店番のバイトをさせてもらったりして修業しました。2回目のBOOK DAYから運営を手伝っています。

 2015年の第4回でBOOK DAYは一度お休みしました。イベントを開催するのはすごいエネルギーがいること。出店者を集めたり、企画を考えたり。ただ僕ももうすぐ自分の店を始めるタイミングだったので、開店をアピールするなら存続してくれた方が有利だと考えたんですよ。だから主催していた古書店の先輩たちに直談判したんです。同じ思いの新しい店の店主と「僕らにやらせてもらえませんか」とお願いしたら「どうぞ、どうぞ」と快諾してもらえました。

——BOOK DAYは元々グランドプラザでやっていましたね。会場を移したきっかけは?

 富山駅で始めたのは2020年から。本当はずっとグランドプラザでやるつもりだったのですが、コロナで予定していたイベントが吹き飛んだんです。

 

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