
創業80周年 独自技術で飛躍
―今年10月10日に創業80周年を迎える。
「創造と奉仕」を社是とし、「独創的なモノづくりで人々の健康に貢献する」をミッションに掲げて歴史を重ねてきた。事業が拡大しても目指すところは変わらない。この節目にわれわれがどんな会社であるのかを再確認し、社員みんなで「やるぞ!」と士気を高めたい。
当社の歴史は、1946(昭和21)年に戦後の食糧難を解消しようとパン用のイースト菌を製造したのが始まり。54年に胃腸薬原料の制酸剤「ノイリシン」を開発し、これは後に賦形剤(ふけいざい)に応用され、今も当社を代表する製品だ。
液体を瞬時に粉末化して難溶性薬物を体に吸収しやすくするスプレードライ(噴霧乾燥)技術を国内で初めて導入し、世界的にみても指折りの加工能力を擁している。
優れた抗酸化作用を持つ「アスタキサンチン」は当社が量産化に初めて成功し、ゼロから市場を開拓した。スウェーデンと米国の生産拠点から世界各国の健康食品メーカーに供給している。これらニッチな分野で独自性のある技術を確立してきた伝統を受け継ぎ、発展させていかなければならない。

―2025年3月期決算の売上高は過去最高だった。
各事業の業績は今期も順調に推移し、売上高は前期を上回る見込み。中でも医薬品の成型時に加える賦形剤の販売が好調だ。当社の「フジカリン」には添加することで錠剤を小さな圧力で成型できるという特長があり、海外で需要が伸びている。10年ぐらい前から営業に力を入れてきたがようやく実った。
更なる需要拡大に備えて、国内外のパートナー企業に一部製品の製造委託をする準備を進めている。これまで製造・加工を受託する側だった当社にとっては初めてのトライであり、技術移転に向けて動き出している。早ければ年内に生産を始める。
―ジェネリック医薬品(後発薬)の製造販売も業績を牽引(けんいん)している。
新たに稼働した製剤第三棟での生産量が徐々に増えている。ジェネリックの分野では後発だが、当社の技術を生かせる製品を選んで取り組んでいる。28年度までの中期経営計画では「受動から能動へ」「特徴から強みへ」がテーマだ。ジェネリック医薬品を開発から製造まで一貫して手掛けることで、自社の特徴を見つめ直せたのは大きい。加工を受託する際の提案力も上がった。点在していた特徴を結び付けてシナジーを生み出していきたい。現在は連続造粒技術の確立にもチャレンジしており、早期に実用化したい。
―アスタキサンチンは富士化学の創造性を象徴する製品だ。
予防医療が拡大すると見越し、社運をかけて開発した素材であり、グローバルトップシェアの事業だ。インドで行った臨床試験で子供たちの目の疲れやドライアイに対する効果と安全性が確認できた。デジタルデバイスの利用時間が長くなっており、ニーズは高まるとみている。
―さらなる飛躍に向けての課題は。
業績が伸び方向性も定まっている。計画通りにやり切れるかどうかがポイントになると考えており、そのための組織強化に取り組んでいる。社員のモチベーションやエンゲージメント(会社に対する愛着心)などが高まり、組織と個人がともに成長していくのが理想的だ。報酬や制度など外形的なところは整ってきた。
奨学金を代理返還する支援制度を設けており、当初は薬剤師を対象にしていたが社員全てに拡大した。上市スマートインターチェンジを利用した通勤の高速代を補助している。昨春、元社員を再雇用するアルムナイ再雇用制度を導入した。多様な人材が集うことが組織の活性化につながる。社外での経験を生かし即戦力として活躍してもらえるとうれしい。
同時に大切なのは内面的なところだと考えている。良い仕事に称賛と感謝の気持ちを表し、成長したいと思っている社員にふさわしいチャレンジの機会を与えるといったことだ。「働きやすさ」「働きがい」を高められるように、外形と内面に気を配って進めていく。
―社長に就任して7年目となる。舵取り役としての目標は。
先日、退職する社員が長年の勤務を振り返って「本当に楽しかった」と言ってくれた。事業がうまくいくことはもちろんだが、究極的な目標は社員の皆さんに「入ってよかったな」と思ってもらうこと。その時は本当にうれしかった。日常的にポジティブな感情で仕事をしてもらいたいと願っており、そういう組織をつくっていくのが私の使命だと思っている。

