動画クリエイターの花上惇さん=富山市出身=は、ポジティブなショート動画で人気を集める。SNSの総フォロワー数が約50万人。米ドラマ『セックス・アンド・ザ・シティ』のテーマ曲に載せて、冷蔵庫を勢いよく開けて、マシンガンのように連射する言葉の数々はクセになる。動画のエッセンスはことし『現在住所は冷蔵庫。自己肯定感急上昇。』(双葉社)の一冊にまとまった。現在に至る曲折を明かしてくれた。(聞き手・田尻秀幸、撮影:鳥飼祥恵)

——富山ではどんな少年時代、10代を過ごしましたか。
初恋から男の子。小学生から好きな男子を追い掛けまわしていました(笑)。まあ、ゲイというセクシャリティーもあって、フラストレーションはずっとありました。悩みは分かち合えないし、出会いも少ない。10代の頃は「早く都会に出てみたい」って思っていましたよ。今は富山の良さも分かってきましたけどね。
中学生の時に見たマライア・キャリーの自伝映画で人生を変えられました。ストーリー性とか物語云々ではなく、シンプルに彼女の歌声に感動した。それまで人の歌声で泣いたことなかったんですけど、ボロボロ涙が出た。その瞬間、「私の道はこれだ」と思いました。東京で歌手になることしか考えられなかった。
でも、夢を追いたいという理由では、上京を親に許してもらえないと思ったので、進学という大義名分で富山を離れました。

——やはり大学ではバンドや音楽サークルに?
私は昔から歌が得意だったんです。でも、変にプライドが高くて、嫌なヤツでした。軽音楽部やアカペラサークルを見学したけど、「レベルが高くないな」なんて思ってしまって。ヤバいでしょ!?(笑)。
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