多くの美術ファンでにぎわう第9回日展富山展。会場の県民会館は、団体客をはじめ、家族や恋人同士で鑑賞を楽しむ人たちの姿が目立つ。友人らと連れだって会場を訪れる際は、ちょっぴり鼻高に、日展にまつわるエピソードを紹介してみてはいかがだろうか。鑑賞の合間にさりげなく蘊蓄(うんちく)を傾ければ、周囲のあなたを見る目も変わるかも。

スター輩出「三山」に「五山も」

 国内美術界をリードしてきた日展はこれまで多くのスターを輩出してきた。中でも、日本画部門は、誰もが一度は耳にしたことがある顔ぶれがそろう。洋画の手法を採り入れ、深い精神性を表現した高山辰雄(1912~2007年)、知的な画面構成で日本画の域を超えた世界観を描いた杉山寧(1909~1993年)、「東山ブルー」と呼ばれる青の色を独自の感性で追求した東山魁夷(1908~1999)は日本画壇の成長期を支えた代表格と言える。

洋画の作品に見入る来場者たち=富山県民会館

 お気づきだろうか。3人の名前に共通する

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