スポーツや芸能界など、さまざまなジャンルで20代が活躍しています。飲食店だって例外ではありません。数多くはありませんが、県内でも20代の店主が切り盛りするレストランやカフェがあります。それぞれの思いやこだわりを聞きました。「早すぎない?」と思うことなかれ。その行動力と熱意にきっと刺激を受けるはずです。(情報は取材時の内容です)
炭火焼肉 千久
県産牛のおいしさでにぎわいを

1階は炭火焼き肉、2階は予約制でステーキが味わえる。焼き肉では県産和牛の新ブランド「とやま和牛 酒粕育ち」など厳選した肉やホルモンを用意。炭火で焼いてうまみを閉じ込め、甘めの特製タレで味わえば、あふれる肉汁ととろけるような食感がたまらない。まさに至福の味だ。

店を営むのは飯田千暁さん(27)。接客や事務、建設業などさまざまな業種で経験を積んだ後、「県産牛のおいしさを通じて、高岡のにぎわいに貢献したい」と2022年7月に店を構えた。飲食業界は未経験。客の一組一組と向き合い、助言や要望にも真摯に耳を傾ける。「一からのスタートで、スタッフも若い人が多い。みんなでアイデアを出し合って、より良い店にしたい」。持ち前の明るさと謙虚さで進化を続けていく。


Dining&Bar Bel Canto ベルカント
自由な発想で記憶に残るひとときを

イタリアンベースの料理とお酒を楽しめるダイニングバー。オーナーシェフの村井丈仁さん(29)は富山高専を卒業後、化学メーカー勤務を経て「自分の力を試したい」と飲食の道へ。イタリア料理店などで経験を積む中、条件に合う物件が見つかり26歳で開店した。

客の目の前で仕上げるチーズリゾットや、スモーキングガン(簡易燻製器)で風味を加える燻製ナッツなど、臨場感あふれるパフォーマンスに気分が高まる。イタリア産食材をふんだんに取り入れた本格的な味わいも人気の秘訣だ。「人と人がつながる空間と時間を提供したい」と村井さん。自由な発想から生み出されるメニューの数々が、記憶に残るひとときを演出してくれる。


【閉店】アメリカン酒場 SANTA MONICA(サンタモニカ)
調理にやりがい 新メニューに意欲

富山駅近くのビルの2階にあり、カジュアルな雰囲気満点。多彩なクラフトビールをそろえ、おつまみのほかにパスタやピザといった食べ応えのあるメニューも楽しめる。

明るい接客で心を和ませるのは店長の大場彩さん(26)。系列店のカラオケバーで働いていたが異動し、2022年5月から店長を務め調理も担当する。もともと食べ歩きやカフェ巡りが好きだったこともあり、やりがいを感じ「料理をもっと楽しんでもらえるようにメニューを増やしたい」と力を込める。県外からも多くの人が訪れ、大場さんのインスタグラムのフォロワーは働き始めてから3倍以上の約900人に増えた。「お客様とのコミュニケーションも楽しい。出会いが宝物です」とほほ笑む。


海鮮丼居酒屋 まんぷく
新鮮な魚介を余すことなく活用

2022年4月に住宅街の一角でオープンした。店主の大能丈さん(25)は「食品ロスをなくしたい」という思いから店を始めた。手伝っていた実家の魚屋から新鮮な魚介を仕入れ、余すことなく活用する。

飲食店勤務の経験はあったが、すし居酒屋を営む祖父から魚のさばき方などを一から学んだ。祖父直伝の調理法で魚のうまみを存分に引き出す。名物は分厚く切った約10種のネタを豪華に盛り付けた「まんぷく丼」。一口食べると、滋味にあふれるネタが口の中でとろけるようだ。少しずつ人気が広まり、県外からも客が訪れる。「お客さんから『おいしかったよ』『満足』という声をもらうたび、頑張ってきてよかったと思う」と笑顔を見せる。


MARUCAFE&SEA(マルカフェ アンド シー)
リゾート感たっぷり 海を一望するカフェ

窓際のブランコ席は、富山湾を一望する特等席。温浴施設内にあり、リゾート地を訪れているかのようなリラックスした空間が広がる。開放的な景色を眺めながらランチやパンケーキを味わえば、とっておきのひとときを過ごすことができる。

「母と一緒にカフェを営むのが夢でした」と店主の麦谷万由子さん(27)。東京や神奈川・江の島のカフェ、富山市内のイタリア料理店などで腕を磨き、24歳で古里の高岡市に1号店の「MARUCAFE&BAR」(休業中)を母の矢後奈里子さんと共に始めた。出産を経て2022年7月に「MARUCAFE&SEA」をオープン。海の見えるカフェを開くのをずっと目標にしていた。「育児と並行して準備できたのは、家族みんなのおかげ」。周囲への感謝を胸に、笑顔でお客さんを迎える。

