前回は、よく噛んで食べることのメリットをお伝えしました。

では、食べ物を噛む回数が少ない、十分に噛み砕かないまま飲み込むといったことを繰り返していると、どうなるのでしょう。

考えられる影響として、次の3つが挙げられます。

噛まないことで起きるリスク

①太りやすくなる
食べ物を十分に咀嚼(そしゃく)しないまま飲み込むと、満腹中枢が刺激されにくくなり、たくさん食べてもおなかが満たされない状態になります。食事量が増えて、肥満になるリスクが高まります。


 


②口の中や歯の状態が悪くなる
よく噛むと、唾液の分泌が良くなります。唾液には自浄作用があり、汚れがたまって細菌が増殖するのを防ぎます。外部から侵入した雑菌やウイルスも洗い流し、繁殖を防ぐため、口内の衛生を保つことができます。
反対に噛む回数が少ないと、唾液の量が減るため、歯の状態が悪くなる可能性があります。菌が増殖して口内環境が悪くなり、虫歯や歯周病のリスクも高まります。


 


③胃や腸に負担がかかる
唾液には消化を助ける酵素「アミラーゼ」が含まれます。咀嚼回数が少ないと、食べ物が大きな塊のまま胃へ送られるばかりか、アミラーゼも不足するため、食べ物を消化・吸収するのに時間がかかり、消化不良や胃腸の負担増につながります。
特に子どもは、大人に比べて消化に時間がかかるため、よく噛んで食べることが大切です。


 

よく噛むためのコツ

ポイントは「一口30回噛む」を目安にすることです。

そのために、次のようなことを意識してみましょう。

  • 切り干し大根やゴボウ、キノコ類など、歯応えのある食材を取り入れる
  • 少し歯応えが残るよう、食材を大きめに切ったり、調理法を一工夫する
  • 一度にたくさん口に入れない
  • 急がずゆっくり食事をする

よく噛んで食べることを、習慣づけてくださいね。

次回は、自然と咀嚼が増えるメニューをご紹介します。

◆舘川 美貴子(たちかわ みきこ)◆

管理栄養士、公認スポーツ栄養士
富山市生まれ。中京女子大学(現 至学館大学)健康科学部栄養科学科卒業。
日本スポーツ栄養学会評議員。学生アスリートやプロスポーツ選手の栄養サポートを行っている。