仕事と家事、育児、どれも全力で取り組まなければならないと自分を追い込んだ時期もあった。「完璧主義」をやめたことで気持ちに余裕が生まれたという。「家族に優しくなれて、仕事へのモチベーションも上がりました」 

働く目的、見失った時期も

大学を卒業後の2012年に入社した。「クールな見た目に魅力を感じた」との思いから車の販売に関わりたかったのが志望動機だった。

営業や企画部門を担当し、20年8月に第一子となる長男を出産。1年間、育児休暇を取って昨年9月に職場復帰し、営業部門で車の販売を担当している。

昨年末に体調を崩して2週間、会社を休んだ。

夫と1歳の息子との3人暮らし。子育ては自身が中心に担っていた。「家族のために頑張らなければ」と、毎日、出勤前に掃除機を掛け、帰宅後は、子どもをあやしながら手の込んだ料理を作っていた。

仕事と家事に時間を取られ、息子と深く関わる時間はつくれなかった。夜泣きする子どもの世話のため睡眠時間も削られ、いつの間にか心身共に疲れ切っていた。「何のために働いているのだろう」。食事も喉を通らなくなった。

それでも、仕事を辞める選択肢はなかった。育児休暇で離れてみて、「仕事が好きだと改めて感じました」と振り返る。夫と相談し、思い切って家事の手を抜くことにした。

家事の負担減へ工夫

ロボット掃除機を購入し、料理は手軽に調理できる冷凍食材などを利用。特に、夫婦ともに仕事が休みの日曜は、テイクアウト料理を活用するなどして家事の時間を減らし、家族で過ごす時間を増やすようにした。今後は、仕事の日、自宅に料理を届けてくれる「宅食」も活用しようと考えている。

会社も子育てと仕事の両立をサポートしてくれた。息子を保育園に送り、会社に向かう通勤が朝のラッシュと重なっていたため、就業時間の変更を願い出た。子育ての状況に合わせ、午前9時半から午後4時半の時短勤務にしてもらった。

日曜は来店客が多く対応に追われるが、家族で過ごす時間をつくるため休みになる機会が増えた。子どもが急に体調を崩したときは、顧客との打ち合せを代わってくれることもあり、周囲への感謝の思いは尽きない。

母親目線で車を提案

家事を完璧にこなそうとすることをやめてから、子どもが泣いていてもイライラしなくなった。「私の穏やかな気持ちが伝わっているのでしょうか」。絵本を読んであげたり、一緒に歌って踊ったりする時間が増えて、互いの笑顔が増えた気がしている。

仕事では、プライベートで体を休める時間が確保できた分、意欲が高まったという。家族連れの来店者に、子育てに便利な車の機能を紹介するなど、母親の目線を生かすこともできて充実感がある。「今は仕事を最優先にできないもどかしさもありますが、限られた時間の中で最大限、力を発揮したいですね」

 


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