富山県高岡市伏木地区の国宝勝興寺と伏木気象資料館、伏木北前船資料館に現代アーティストと障害者の作品を展示する「ふしきの『ふ』芸術祭」が28日始まる。会場では27日、作家や関係者が設営作業を進めた。
芸術祭は10月5日まで。地元の自治会や経済団体、商店連盟などでつくる実行委員会が能登半島地震からの復興や共生社会の実現を目指して初めて企画した。県西部の現代アーティスト14人と地元の障害者アート支援工房ココペリで活動する作家ら15人が新作と旧作を出品。大作を中心に絵画や立体、インスタレーション(空間芸術)など多彩な内容で、震災復興への祈りを込めた作品もある。
富山市の画家、中坪弓子さん(42)は年輪をモチーフにした「樹(じゅ)」と、港町伏木にちなみ、船をつなぐ綱からインスピレーションを受けて普遍的な祈りを表現した「結(ゆい)」を出展。伏木北前船資料館の茶室に展示した。「時の流れの象徴と、普遍的なものの対比を表した」と話した。
高岡市の障害者アーティスト、安吉将吾さん(21)は紙で作った昆虫の模型を披露する。関節や足先の毛まで精巧に再現したリアルな作りが特徴で、新作2点を含む大小さまざまな作品を伏木気象資料館の階段に並べた。「裏側までそっくりに作っている。本物が見られない人も紙で楽しんでほしい」とPRした。
勝興寺では、国の重要無形文化財保持者(人間国宝)への認定が内定し、伏木地区に工房を構える漆芸家、林曉(さとる)さんの作品3点を特別展示する。地区の商店や飲食店など27カ所では10月12日まで、「伏木まちなか美術館」と題して多彩な作品が飾られている。北日本新聞社協力。