野菜で作った素朴でユニークな作品が、まちなかの各所に並んだ。20日に富山県高岡市福岡地域中心部で始まった「福岡町つくりもんまつり」。今年は新高岡市の誕生20周年記念として開かれ、出品数は30点となり、昨年の18点から大幅に増加。いずれも制作者の思いが込もった力作で、来場者を楽しませた。21日まで。北日本新聞社共催。

卒業生が学び舎再現

 地元の福岡小学校と旧淵ケ谷小学校を1987年3月に巣立った卒業生は、それぞれの旧校舎の作品を出品した。福岡中学校の同級生でもあり、8月に制作活動をスタートさせ、かつての学び舎(や)を再現した。

 当初は6人でスタートしたが、旧友の輪が広がり、最終的には40人余りが参加。地元在住の手操麻美さん(50)は「制作活動を通じ、久しぶりに同級生と会えて懐かしかった。毎日が同窓会のようだった」と笑顔で話した。

 コンクール連覇を目指す中島町青年会は、「花咲かじいさん」「金太郎」など昔話の主人公が勢ぞろいした作品を制作。今年の新高岡市誕生20周年を祝い桜が咲くというストーリー性を持たせた。

 20周年記念の特別作品2点も展示された。このうち高岡御車山(みくるまやま)祭で巡行する木舟町の山車(やま)をモチーフにした力作は、高さ約5メートルと大型。黒豆やトウモロコシを使って車輪を重厚感たっぷりに表現した。大勢の来場者が詰めかけ、記念撮影用の法被を着て写真に納まる子どもの姿も見られた。

 このほか、アニメのキャラクターや高岡大仏などの多彩な作品が並ぶ。石川県野々市市から家族で訪れた小学6年の森田創太さんは「作品が多くて見応えがたっぷり」と満足そうだった。

 今年は数十年前に盛んだったあんどんの設置を有志が復活させた。子どもたちが野菜や菅笠(すげがさ)、人気キャラクターなどをデザインした50個がまちなかを彩った。

世相を反映「関税男」

 世相を反映した作品も来場者の目を引いている。

 西町自治会の「関税男」は、演説で「相互関税」の導入を発表するトランプ米大統領が題材だ。自治会の40~50代の役員が社会情勢を捉えた作品を出したいと発案し、オレンジ色のジャンボカボチャで頭を、昆布でスーツをこしらえた。

 もみ殻などで作ったボードに福岡地域の自治会名と架空の関税率を記した。自治会長の矢竹有至さん(77)は「トランプ氏の大柄な体格をうまく表現できた」と話した。

 中町自治会はコメの価格高騰をテーマにした「令和の米騒動」を出品した。30種類近い野菜を使用し、スーパーで備蓄米を買い求める人たちを表現した。スーパーの外観は、建て替え工事のため28日から一時閉店する地元の「アルビスタピス店」を模した。