学生向けの就職支援サービスを手がけるスタートアップ、就活ラジオ(富山県富山市上飯野、碓井一平社長)は、AI(人工知能)を活用して、学生と地方企業をマッチングするサービスを拡充する。AIとの会話を通じて学生の価値観や志向をつかみ、登録された中から希望にかなう企業を紹介するアプリ。3月にベータ版をリリースしており、10月をめどに本格版を利用できるようにする。
就活ラジオは2022年1月に創業した富山発のベンチャー企業。国内の就活市場では学生の志望が大手企業に偏り、地方の中小企業の採用難や早期離職が深刻化していることから、こうした課題解決に向けたサービスの開発、提供に取り組んでいる。
マッチングサービスの名称は「AIタレンティー」。学生は希望勤務地などの条件を入力した上でAIと会話する。どのような働き方を望んでいるか、自分の強みは何か、学生の志向や蓄積されたデータから価値観を分析した上で、マッチング率を示しながら社名を伏せて企業を推薦する。
既存サービスは、学生がまず社名を検索して利用するタイプが多く、ネームバリューのある大手企業とのマッチングが優先されるとして、こうした仕組みを採用した。地方の中小企業も含めて学生の選択肢を増やし、「価値観」を軸にした就職をサポートすることで、早期離職を防ぐことにもつなげるという。
企業にとっては、AIが企業理念や社風に合った学生を探してくれるため、採用活動の労力を抑えられるとしている。
アプリでマッチングすれば、「カジュアル面談」に進む。本選考ではないという位置づけのもので、地方では学生の「売り手市場」となる中、まず学生と企業の接点を増やすため、同社として提唱している。
本格版リリースに向け、北陸銀行などの融資と、建物管理などのバロン(富山市北代)の浅野雅史社長、パッケージメーカーのサクラパックス(富山市高木)の橋本淳社長、電子部品加工の星名産業(滑川市柴)の星名照彦代表取締役の3人の出資で、計7千万円を調達した。富山での資金調達を実現し、登録企業を増やすための営業人員の増強などに充てる。登録しているのは現在、地方企業90社で、1年後に200社とすることを目指す。