高岡市旅籠町にある扇子(おおぎ)こんぶ店で、おぼろ昆布つくりを体験しました。

店内に入ると、ガラスケースに様々な昆布が並び、美味しい匂いに思わずよだれじゅるり♪



お店のすぐ奥にあるお部屋で、昆布用の包丁を研いでいる職人さんが扇子忠之さん。
歯を薄く研いでおられるのかなと思って眺めていたら、「今、歯を曲げているんだよ」と教えてくださいました。
昆布をおぼろにすくために、歯を曲げてひっかりを作っているのだそう。

何度も確認しながら、納得のいく曲がり具合に調整が終わると、まずは師匠の技を見学。

昆布を削りながら、おぼろ昆布作りについて教えてくださいました。

・包丁の歯は常に均一に削れる様に切れ味を整える。
・包丁をしっかり固定して均一に削る。
・昆布を削るのはとても力がいるので、体力的におぼろ昆布は作れても一日に昆布を約50枚削って1Kg程度しか作ることができない。



1枚の昆布の両面を削り終えられて、「この量で約20グラムです」と、貴重な一握りの中から一つまみ、削りたてを食べさせてもらいました。

娘「ふわふわ~!味が濃くて美味しい!!」と満面の笑み♪

母「口の中で溶けてく!」

さて、娘がおぼろ昆布作りを体験

右足だけ草履をはき、ドキドキしながら昆布を踏んで押さえます。



左手の指で昆布を挟みしっかり持ったら、力を入れて表面をひっかけていくように昆布を削りだします。

「角度を一定にして上まで引いて」師匠に手を添えてもらいながら、スーッと昆布が削れおぼろ昆布になりました。

「うわぁ~気持ちいい♪」削る感触に思わずニンマリ

包丁がぶれないように、一定の力で角度を保ちながら上まで移動させるのは、簡単そうに見えた動作ですが、実際にやってみると全然違うらしく、1人で削りだして最初の一言が
「力要りますね!」

頑張っていたものの、ずっと力を入れて昆布を削るには筋力も体力も足りず、
そのうち包丁がお辞儀をしてしまい、削れる量が少しだけに。
曲げた歯がうまく使えていないってことだよ、と師匠が手を添えて昆布をすくと、またす~っと削れて、不思議な感覚でした。



「これを50枚もやるとしたら大変だ~(-_-)」と呟きながら、体力限界まで削って、自分で作ったおぼろ昆布を袋に詰めてもらうと”ちょっぴり”(笑)
大満足で早速おやつになっています♪

<娘の感想>
自分で削ったおぼろ昆布もふわふわなんだけど、師匠が削った昆布とは、食感で厚みが違う!ずっと同じ体勢で腰も痛くなるし、こんな大変なお仕事で美味しい昆布ができていたのかと初めて知った。


次に自分の番がやってきました!気合十分!!

子供があれだけできるなら自分はもうちょっと上手にできるでしょ!と甘く見ていました。
いざ自分でやってみると、手がプルプル、力がうまく入れられず、削れた昆布はちょっぴり(笑)

 

「詩音ちゃんはよく1枚頑張ったね!」と思わず声に出ていました。
なんとか1枚分頑張って削ってみたものの、師匠が同じ1枚の昆布から削った量には全く及ばない”ちょっぴり”を「頑張りましたね^^」と詰めてもらいました。
終わった後は、腕がパンパン。
自分の作ったのを食べてみると、確かに娘の言う通り、最初に食べさせてもらった見本のおぼろ昆布とくちどけが違います。

感動の職人技でした!



座る事に慣れて1年
2年目には削り方に自分なりのコツをつかみ、
3年目にやっとそれなりに削れるようになり、
師匠はおぼろ昆布を作り続けてもう40年になられるそうです。

そして、「毎日昆布を触っているから手がツヤツヤなんだよ^^」と出してくださった手を見ると、包丁の当たる部分は皮膚が硬くなっていて、正に”職人の手”でした。

この技術が引き継がれ、いつまでも美味しいおぼろ昆布が食べられたらいいなと思い、後継者はいらっしゃるのか伺いました。
たくさんの人に知ってもらいたいと思い、体験会を行うようになった事や、息子さんがおられ、この技術を惜しんで継いでくれたら嬉しいが、口で伝えられるものではなく、自分なりの技術を身に付けてくれたらと温かく見守っているとお話してくださいました。


昆布大好きな娘は、自分がいつも食べている昆布がこんなに手間がかかる事を、体験して初めて知り、もっと昆布が好きになったそうです。

お土産の昆布をもらって体験は楽しく終わりました。