間もなく夏本番。暑さをしのぐには、氷が欠かせません。食べるならかき氷。特徴的な氷を用いるドリンクもありますね。そんな冷たい一杯を集めました。眺めるだけで涼しい気分になれる氷彫刻の制作現場ものぞき、氷、氷、氷のオンパレードです! …あれ、今月号のページ、冷たいかも?!(情報は取材時の内容です)
氷彫刻を見たことはありますか。大きな氷をチェーンソーで切ったりドリルで削ったりすることで作り出され、いつかは溶けてしまう、はかない芸術です。氷彫刻の世界大会に出場経験がある、ホテルグランミラージュ(魚津市)の料理長、楞谷(かどたに)貴志さん(49)に、制作過程を見せてもらいました。

ホテルグランミラージュ料理長の楞谷さん
「宴会などで氷彫刻を出しています。昔は結婚式で出すことが多く、料理人が技術を身に付けるのは珍しくなかったんですよ」

2月、アメリカ・アラスカ州で行われた世界大会で、日本代表として制作した作品。楞谷さんを含め4人で手掛け、大きさは高さ、幅それぞれ7mほどという
<1>作りたい形を紙にデッサンする

「1対の鳳凰(ほうおう)と、花やそれを飾る台を作りたいです」と楞谷さん
<2>大きな直方体の氷を仕入れる

鳳凰1体の基となる氷の大きさは、高さ1m、幅0.5m、奥行き0.2mほど。重さは135kg。シェフの岩﨑大也さん(19)=写真右=がアシスタントを務めた
<3>三角のみを使って、氷の表面に鳳凰の下絵を描くように削る

<4>チェーンソーで不要な部分を切り落とし、輪郭を形作る

雪のような氷片が飛び散り、楞谷さんにかかる。顔をぬぐう楞谷さんは「氷じゃなくて、汗をぬぐっています」と話す。力が要る、かつ、時間をかけていられない作業のため、ひんやりする環境の中ではあるが、体は熱い
<5>切り落とした氷は、直方体からはみ出す羽の一部として活用する

温めたアルミ板を接着面に触れさせて溶かし、くっつけやすくする。接着面に削れた氷片を挟んだり冷却スプレーをかけたりすると、しっかりくっつく
<6>チェーンソーだけでなく、ドリルや平のみなども使って、立体的に仕上げる

鳳凰1体は1時間ほどで仕上がった
<7>氷の中に花を咲かせる。小さめの直方体を切り出し、一つの面の中央にドリルをさまざまな方向に入れていく

横から見ると花びらがどんどん出来上がっていくのが分かる。楞谷さんは上からしか見ていないのに
<8>ドリルで開けた部分にインクを流し入れる

花一つは10分で仕上がった
<9>台座となる氷を敷き、鳳凰2体と花などを置いて完成!

「鳳凰」高さ1.2m、幅2m、奥行き0.5m
ホテルグランミラージュ
魚津市吉島1-1-20
TEL.0765-24-4411
7月5日〜8月31日の土・日曜、祝日、ホテルの「レストラン ミラヴェール」でのランチ・ディナービュッフェで、小さめの氷彫刻を飾る予定。イベントなどでの出張制作も受け付ける
魚津市吉島1-1-20
TEL.0765-24-4411
7月5日〜8月31日の土・日曜、祝日、ホテルの「レストラン ミラヴェール」でのランチ・ディナービュッフェで、小さめの氷彫刻を飾る予定。イベントなどでの出張制作も受け付ける
撮影:さいとう写真事務所