免許のいらない自転車は、子どもからお年寄りまで幅広い世代が利用する便利な乗り物です。一方で、重大な事故を起こしかねない危険さもはらんでいます。2026年4月からはバイクや自動車と同じように交通違反に反則金を課す「青切符制度」が導入される見通しとなり、安全運転へのさらなる意識向上が求められています。ルールや安全な乗り方について改めてレポートします。

青切符は16歳以上、赤切符は14歳以上が対象
2026年4月から導入される自転車の青切符制度では、約110の交通違反が対象となる見込みです。このうち信号無視や一時不停止など、重大な事故につながるおそれのある違反を重点的に取り締まるとのこと。反則金の金額は、携帯電話の使用(ながら運転)は1万2千円、信号無視は6千円などと設定しています。対象は16歳以上です。
赤切符…飲酒運転、妨害行為など※現在は、ながら運転や一時不停止なども対象

ただし酒酔い運転や妨害行為など、重大な違反は刑事処分対象の「赤切符」になります。赤切符は14歳以上が対象で、3年以内に2回切られると講習を受けなければいけません。現在は携帯電話の使用なども赤切符の違反に含まれまています。
基本の基本!安全運転の五つのルール
2024年に富山県内で自転車に乗っていてけがをした子供は、小学生が13人、中学生が21人でした。そのうち一時不停止や安全確認違反など、交通ルールを違反していたのは小学生12人、中学生13人。つまりほとんどが交通ルールを守っていませんでした。

自転車の安全な走行には、五つの決まりを守ることが大前提となります。
①車道が原則、左側を通行。歩道は例外、歩行者を優先
自転車は軽車両のため、車道と歩道の区別がある道路では車道を通行します。道路の左に寄って走ってください。
②交差点では信号と一時停止を守って安全を確認
③夜間はライトを点灯
夜間はライトを付けないと前方の安全確認ができません。また周りからも見えにくくなります。
④飲酒運転は禁止
⑤ヘルメットを着用
2024年に自転車運転時にけがをした富山県内の小中学生34人のうち、14人がヘルメットをしていませんでした。ヘルメットの着用は努力義務であり、交通事故における被害の軽減に重要な役割を果たしてくれます。
2人乗りは原則禁止
基本的に2人乗りは交通違反となりますが、例外が認められています。運転者が16歳以上で、乗せるのは未就学児2人まで。さらに子供は専用のシートに乗せなければいけません。

ただし、子供を乗せての走行はバランスが取りにくくなり、危険度が増します。富山県警交通企画課の担当者は「お子さんには必ずヘルメットを着用させてください。路面状況が悪かったり段差がある場所は自転車を降りましょう。サドルの高さも足が地面に着くように調整してください」と呼び掛けます。
子供の起こした事故で高額な賠償金も
富山県外では小学生が運転する自転車がお年寄りにぶつかり、約1億円の賠償金を請求されたことがありました。小学生は夜道にもかかわらずライトを付けておらず、お年寄りは事故で意識不明となったそうです。

富山県警交通企画課は「事故を起こしたり事故に遭った場合は、逃げたり立ち去ってはいけません」と言います。後々のトラブルにつながる可能性もあるため、「子どもには相手の連絡先を聞き、保護者や学校に連絡するように伝えてください」

さらに「TSマーク」の利用も勧めています。これは自転車安全整備店で点検整備した自転車に貼るシールのことです。傷害保険と賠償責任保険が付帯されており、賠償責任補償額は最高で1億円。万が一の事態に備えることができます。
これからの夏休みには自転車に乗る機会も増えるはず。家族で自転車の安全について確認する時間を設けてみませんか?