南砺市立野原東の漆加工会社「Japans(ジャパンズ)」は19日、同市大鋸屋で漆の苗木を植樹した。耕作放棄地の利活用と、希少な国産漆の生産拡大を目指す取り組み。成長過程で吸収した二酸化炭素量を測定し、脱炭素関連の排出量取引市場にも参入したい考えだ。同社の川森清社長(65)は「漆を通じて地域と環境に貢献したい」と意気込んでいる。

 ジャパンズは2022年に設立した。パルプ材100%の紙に、漆の樹液を染みこませた抗菌性の高い独自素材「ウルシート」を使った商品などを開発している。

 漆の植樹は、市内で増える耕作放棄地を利活用するとともに、持続可能な漆の生産体制づくりを目指して試験的に始めた。富山大にも協力を仰ぎ、ドローンで成長過程の樹高や樹幹を計測することで、二酸化炭素の吸収量も算出する。

 19日は川森社長や同大サステイナビリティ国際研究センターの和田直也教授、同教授研究室の学生ら10人が作業に参加。借用した約3千平方メートルの耕作放棄地に、漆の苗木110本を植え込んだ。

 10年で幹の直径が約20センチに成長し、樹液の採取ができる見込み。今後も毎年300~500本のペースで植樹を続ける予定だ。川森社長は「国産漆と脱炭素はどちらも需要が高い。取り組みを成功させ、地域にも恩恵を還元したい」と話している。