カップ麺についての気になるランキングを見つけた。北海道から九州までの9地方のうち、7地方で「やきそば」が購買数量が1位だが、富山県を含む中部地方は「うどん」、近畿地方は「ラーメン」が1位。もしや富山県民はうどんが好きなのか。調べてみると途中で意外な方向に脱線したが、おいしい結末になっておなかも心も満たされた。

 ランキングは東芝データが公表した「地方別のカップ麺売れ筋ランキング(2025年2月)」。東芝グループの電子レシートサービス「スマートレシート」の利用者のデータを基に、さまざまな商品の買い物動向をまとめている。2月は「カップ麺」がテーマで、全国ランキングでは焼きそば「日清焼そばU.F.O.」が1位だった。

2025年2月 全国のカップ麺売れ筋ランキング(東芝データ提供)

 富山県を含む中部地方のランキングを見ると1位は「日清のどん兵衛きつねうどん東」。ここで不思議に感じたのが「東」の一文字。発表資料をよく見ると、中国地方や四国地方のランキングに入っているのは「日清のどん兵衛きつねうどん西」だった。

2025年2月 富山県を含む中部地方のカップ麺売れ筋ランキング(東芝データ提供)

 どん兵衛には東西2種類ある? あらためて日清食品のウェブサイトを見ると、味の違いが詳細に説明されていた。

食べ比べて味の境界発見

 1976年の発売当初から、東と西でつゆの味を変えていたという。サイトによると、味を統一した方が効率は良いが、東西のうどんやそばのつゆの味が歴史的に異なる点を重視した。苦労したのが味の境界線をどこにするか。当時は文献等もなく、開発担当者が新幹線こだまに乗り、各駅や駅周辺のうどんを片っ端から食べて、「関ヶ原」に味の境界があることを突き止めたそうだ。2009年には「北のどん兵衛」も発売された。

 2024年には麺、つゆ、具材、七味のすべてを東日本と西日本に分けた「ぜんぶ東西分け」が実現した。南は通年販売されていないものの、2024年に東西南北のだしの違いを楽しめる「だし比べ」シリーズで登場。2025年は東西南北のだしに加え、めんの違いも楽しめる「利きどん兵衛」シリーズの一つとして販売された。

日清食品提供

 富山県は「西」に分類されているため、先ほどの中部地方のランキングは、おそらく母数の大きい他県の購買数が背景にあるのだろう。

 ただ、富山県と言えば、東日本か西日本のどちらか迷う位置にある。

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