富山県立山町虫谷の和紙職人、川原隆邦さんの工房で、4月13日に開幕する大阪・関西万博の迎賓館を彩る和紙アート作品の制作作業が大詰めを迎えている。会期中に発表する7作品だけでなく、会期前の展示も担当することも決定。会期中は見ることができない“幻”の作品もこのほど完成した。

 迎賓館は10月13日までの期間中、約160の国と地域から訪れる国王や大統領、首相らを接遇する施設。川原さんは、富山を含む全国各地の素材を使って日本の豊かな自然や風土を表現し、計7点の作品を入れ替えながら発表する。

 会期前に訪れる人がいることから、直前まで展示する作品も担当することになった。

 作品は幅6・2メートル、高さ1・2メートルの和紙アート「huge tree(大樹)」。タテヤマスギの巨木に着想を得て、その神秘性や生命力を繊維の流れや、墨絵のようなかすみやにじみで表現した。

 額装も他にはない質感を味わってもらえるよう、むき出しの状態で展示する。近く会場に搬入し、会場での見え方や設置の流れなどを確認する。

 川原さんによると、会期中に発表する7作品は既に完成したものもあり、制作作業は順調という。「地域と関わりながら制作する新たなスタイルも見えてきた。日本の面白さを和紙というフィルターを通して見てもらいたい」と話した。