建国を祝う紀元祭が11日、富山県高岡市古城の射水神社で開かれ、居合道の光明館高岡支部のメンバーが数十年ぶりに奉納演武を行った。2024年11月に87歳で死去した前支部長で同市剣道連盟居合道部師範の荒木弘之さん=同市二塚、教士7段=が復活に尽力。生前熱心に指導した弟子がりりしい刀さばきを披露した。
光明館高岡支部によると、居合道の奉納演武は昭和時代まで正月三が日の恒例行事だったが、初詣客で混雑するため長く実施されなかった。かつて演武した荒木さんが再開に動いたが、闘病の末、弟子の晴れ姿を見届けることなく他界した。
幣殿で営まれた紀元祭には、普段は県営高岡武道館で稽古に励む同支部から、元井秀治支部長(老子製作所会長、錬士7段)らメンバー10人が出席。出席者は国歌を斉唱し、炭谷淳宮司が祝詞を上げた後、紀元節奉祝歌を歌った。元井支部長が演武を奉納すると、静寂の中、刀を振る音だけが響き渡った。紀元祭の後、祈願殿で大石光夫さん(錬士7段)、塩谷紀子さん(同6段)、濱名宏さん(同)ら9人が演武を披露した。
元井支部長は「荒木先生が復活に動いた奉納演武ができてうれしい。先生に見ていただきたかった」と話し、塩谷さんは「段位を取れたのは荒木先生のおかげ」と亡き師に感謝した。