多様な働き方が広がる中、元従業員を再雇用する「アルムナイ採用」が県内でも注目を集めています。柏可奈子さん(41)は2024年、15年ぶりに富山第一銀行へ復職しました。以前培ったスキルを生かして働きながら、スペイン人の夫と共に家事や子育てに奮闘しています。
富山第一銀行には2007年に入行しました。やりがいを感じ職場の雰囲気も好きだったのですが、夫と結婚するために09年に退職しました。スペインに移住後は日本語を学ぶ子どものための学校で先生として働き、娘の小学校入学を前に富山に戻ってきました。

先輩からの誘いで復職
復職は尊敬する女性の先輩から声を掛けていただいたのがきっかけです。ブランクはありますが、驚くほど早く職場になじめました。これまで何度か転職し、仕事や人間関係に慣れるのに苦労したので、ありがたさを実感しています。
昔に比べて働き方改革が進み、さらに働きやすくなったと感じています。もともと女性が活躍していましたし、家族を最優先で働くという価値観をみんなで共有しています。例えば夫は日本語ができないため、病院に行く時は付き添う必要があるのですが、業務が忙しい時期だったとしても上司は快く送り出してくれます。
いまは午前8時40分から午後5時10分までのフルタイムで働き、ウェブ完結型の個人融資の受け付け事務を担当しています。もっと勉強してお客様の質問にもしっかりと答えられるようにしたいです。
家事や育児は完全分担
娘は小学2年生です。平日は実家の両親に面倒を見てもらっており、正直言って仕事と子育ては両立できていないかもしれません。ただスペインでは夫婦2人で家事や育児を分担するのが当たり前。男女が対等に働きます。夫はエンジニアとして県内の企業に勤めながら、買い物やアイロン掛けなどをします。
誰かがメインで家事や育児を担うのではなく、みんなで支え合っています。スペインでの生活を通じて、さまざまな考え方や生き方があると学んだのが私の強みだと思います。職場でも家庭でも1人1人の意見を尊重していきます。
アルムナイ採用 アルムナイとは英語で「卒業生」「同窓生」の意味。退職した元従業員を再雇用する制度で、企業側は労働力の確保や教育コストの削減などのメリットがある。富山県内では金融機関を中心に導入する企業が増えており、富山第一銀行では、2024年に復職制度を改定。介護や育児といった退職理由や離職後5年以内など、それまで設けていた復職の条件をなくした上で、すぐ正社員として働けるようになった。柏さんは制度利用の第1号。