「やつを仕留めました」。まるでスナイパーかヒットマンのようなせりふだが、追い続けた獲物をやっとカメラに収めることができた興奮から、思わず出た言葉だ。「やつ」とは、高岡市で最近、ちょっとした話題になっていた肉食魚「アリゲーターガー」である。【6月25日に公開した記事を再掲します】

アリゲーターガーを確認できた地点。後方の赤い駐春橋に向けて泳いでいった

 これまで縁もゆかりもなかったアリゲーターガーを追うきっかけになったのは、6月12日の北日本放送(富山市)のテレビニュースを見たのがきっかけ。視聴者が高岡古城公園(高岡市)の堀で撮影したという、泳ぐアリゲーターガーの動画を伝えていた。

 記者はこの日は休みで、車中でたまたまニュースを見ていた。ワニのようにも見えるこの魚は、5月に富山市の田んぼ跡地の水たまりで、ペットとして飼われ放されたとみられる個体が捕獲され、全国的なニュースになっていた。「えっ、高岡にもいたの!?」と驚きを感じた。

 その報道があった当日、同僚の記者が公園の堀を日没まで捜し回ったが、見つからなかったそうだ。「おれがやるしかない」。指示があったわけでもないが、ひそかに決意した。読者や視聴者から提供してもらう写真や動画は本当にありがたく、紙面やこのwebunプラスで使わせてもらうことがよくあるが、現場があるのであれば自らの目で確かめ、写真に収めたい。記者の本能である。

汗だくで公園を捜索

高岡古城公園の堀はとにかく広い

 古城公園は、職場から車で5分余りで行ける。取材の合間や空いた時間を見つけては、捜索する日々が始まった。とにかく広い公園である。

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