東京のメガバンクを辞めて、富山に移住した中谷なかや幸葉こうようです。移住先の古民家はいろんな人が交わり、化学反応を生み出して活動しています。いわば「多様性とチャレンジのサラダボール」。集まるお悩みも実にさまざまです。銀行員時代、M&A(企業の合併・買収)を担当していましたが、まさか富山でもM&Aに関わることになるとは夢にも思いませんでした。

頭を抱えるお悩みが次々と…

 ある会社が後継者不在に悩み、解決策を求められた時のこと。知恵を借りようと相談したのが高岡市の薬局で働く荒川あらかわ健生けんせいさんでした。健生さんは同じメガバンクの出身。野球少年だった健生さんは、高校進学で高岡を離れ、慶応高校に野球留学しました。甲子園に3度も出場し、東京六大学野球を経験したスポーツマン。ストイックで誠実でとても頼りになる存在です。

メガバンク時代の荒川健生さん

 高校時代は学年に50人の部員がひしめき、常に意識が高い人に囲まれていたそうです。「チームが甲子園に出ているのに、自分が出られないなんてあり得ない」とハードな練習を乗り越えてレギュラーの座を勝ち取り、見事ベスト8まで進出しました。慶応大学に進学後も、持ち前のストイックさで野球を続けますが、突然のけがに見舞われ、野球以外の将来を描き始めます。

慶応高校時代、甲子園に出場した健生さん

 就職活動では業界を絞らず、業界1位を受けまくると次々に内定を得ていきます。名だたる有名企業の中から「その会社でどんなスキルが得られるか」を基準に絞り込み、金融業界に進みます。

残り1685文字(全文:2346文字)