富山ゆかりのノーベル物理学賞受賞者で東京大宇宙線研究所教授の梶田隆章さんの講演会「宇宙の“森羅万象”~宇宙の真理を求めて~」が富山市で開かれた。最新の研究成果を平易な言葉で説明した内容もさることながら、聴講者とのスケールの大きな質疑応答や、富山へのさりげない配慮など見どころの多い講演となった。
梶田さんは富山市に自宅があり、富山市のお隣、岐阜県飛騨市神岡町の観測施設「スーパーカミオカンデ」で素粒子ニュートリノに質量があることを発見。2015年にノーベル物理学賞を受賞した。
今回登壇したのは「第67回宇宙科学技術連合講演会」(10月17~20日)。国内最大級の宇宙工学分野の学会で、最先端の研究成果が発表された。

多くの人が最先端の研究に理解を深めた梶田さんの講演会
ハイパーカミオカンデ建設進む
梶田さんは講演で、ガンマ線や宇宙線、重力波を観測する意義や最新の手法などについて説明。スーパーカミオカンデの後継施設「ハイパーカミオカンデ」が建設中で、10月3日に本体空洞内部の上部ドーム部分が完成し、2027年の運転開始に向けて順調に工事が進んでいることも紹介した。

報道陣に公開された「ハイパーカミオカンデ」のドーム状の空洞部分=10月29日、岐阜県飛騨市
同じく神岡町にある「KAGRA(大型低温重力波望遠鏡)」についても触れ、ブラックホールの解明などを目指して重力波の観測に挑んでおり、来春には
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