小学校の学年が上がっても1字1字拾って読む、枠の中に文字を書くことができない―。文字の読み書きにつまづきがあり、学校生活や人間関係に悩みを抱えている子どもたちがいる。「ディスレクシア」とも呼ばれる生まれつきの特性だが、周囲に気付かれないまま勉強嫌いになったり不登校になったりするケースがある。なぜ周囲の人は障害に気付けないのか。当事者に合うと、その理由が分かってきた。

取材の受け答えスムーズ、でも…

 「文字を書くことがとにかく嫌いで、学校でノートを取ったことはほとんどありません」。中学生の頃に読み書き障害があると分かった富山市の高校3年の男子生徒は、取材に対し、淡々と説明してくれた。明るい性格で、友人は多い。中学時代はサッカーに打ち込んだという。取材中の受け答えもスムーズで、特に変わった様子は見受けられない。

書くことが苦手でつまづくケースも

 ただ、「書く」ことだけが極端に苦手。実際に文字を書いてもらうと、1字1字ゆっくりと鉛筆を動かして形を取っていた。過去に自分が書いた文字を前に「何て書いてあるか分からない所もある」とも話した。

 書くことへの苦手意識は小学校時代からあった。書こうとするとつらくなってくるので、漢字ドリルはやりたがらず、宿題も提出しない。先生からは「書かないと覚えられないし、どんどん学習が遅れていってしまう」と言われたという。それでも、かたくなに拒否し続けた。読むことはスムーズにできるので、学校のテストはクラスの友人が取ったノートを見せてもらってしのいだ。

「学校は嫌じゃなかった」

 周りの大人は誰も読み書き

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