射水市の新湊漁港は、富山県内で唯一、昼競りを行っている。富山湾で揚がる四季折々の魚が並び、9月は色鮮やかなベニズワイガニの競りで浜は活気づく。見学者専用通路が整備され、早朝に行かずとも競りを楽しめると観光客の評判も上々だ。

水揚げされたベニズワイガニを競り場に並べる漁師=射水市の新湊漁港
9月2日に射水市八幡町の新湊漁港で行われたベニズワイガニの初競り。富山に秋の訪れを告げるカニ2100匹が競り場に並び、午後0時半の開始と同時に競り人の威勢の良い声が響いた。

色鮮やかなベニズワイガニ
競りは早朝に行われるのが一般的だが、なぜ新湊では昼にできるのか。答えは漁場の近さにある。
漁場近く、夕方にはスーパーに
富山湾は急峻で水深が一気に深くなる。このため、水深800~1000メートルに生息するベニズワイガニの漁場は、新湊漁港の沖合20~30キロで片道1時間ほど。未明に出港すれば、カニかごを引き揚げる時間を含めても、午前10時には帰港できるという。

競り人の威勢のいい声が響いた新湊漁港
水揚げされたベニズワイガニは昼競りを経て、その日の夕方にスーパーに並ぶ。一般に甲殻類は鮮度の低下が早い。1日がかりで漁場へ向かう他県の漁港と比べ、新湊産は鮮度が格段に高いのだ。

仲買人の軽トラックに積まれたベニズワイガニ
「キトキトの海の幸」を支える昼競りを広く発信しようと、新湊漁協は2014年度に競り場の2階に見学者用通路を設けた。受け入れ態勢を整えたことで、昼競りは団体旅行に組み込まれるようになり、観光スポットしても人気を集める。
朱色じゅうたん「壮観」「食べたい」
新湊漁協の中野剛参事は「ベニズワイガニがずらりと並ぶ朱色のじゅうたん〟は他では
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