最初に、みなさんに質問です。コンビニでペットボトルのお茶を買う場面を想像してみてください。代金は150円。この、みなさんが支払った「150円」はどこに行くのでしょうか?

 日々の買い物では、「お金の行方」を深く考えることなく支払っているという人が多いのではないかと思います。どこに行くかと聞かれれば、「コンビニの売上になる」ということまでは思い描けているでしょう。しかし実際には、みなさんが支払った150円は飲料メーカーはもちろんのこと、ペットボトルメーカー、倉庫会社、お茶の農家、パッケージの印刷会社やデザイナー、お茶のCMの広告代理店やタレント事務所、商品や原料などの配送を担う配送業者、配送に使われるトラックのメーカー、ガソリンスタンドなどへと無限に広がっているのです。

 ペットボトルを買う場面から思考を深めてみて気づくのは、「私たちが使うお金が誰かのお給料になっており、私たちが得ているお給料も、誰かがどこかで使ったお金なのだ」ということです。人はお金を通じて誰かを支え、お金によって誰かに支えられてる――これを、経済用語で「互恵関係」といいます。

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