育児に仕事に家事に…忙しい毎日の中で、1人でほっとできるコーヒータイムは至福の時間です。せっかくなら気分にぴったりの1杯を飲みたいところですが、コーヒーの世界はどこまでも広く深く、自分好みの味に出合うのも簡単ではありません。
あいの風とやま鉄道泊駅待合室で営業中のSLOWELL COFFEE オーナー笹川孝徳さんに、コーヒーの魅力や初心者向けに楽しみ方を教えてもらいました。

朝日町出身の笹川さんは、カナダと名古屋市のコーヒー専門店で計4年間、バリスタとして働いた経験を持ちます。8月にオープンさせたSLOWELL COFFEEの店名には、立ち寄った人がゆっくりとした(slow)時間が流れる空間の中でコーヒーを楽しみ、心身ともに満たされる(well)、そんな地域の人たちの休憩所のような場所を作りたいという願いが込められています。
バリスタさんに相談
さっそく、コーヒーの選び方のコツを教えてもらいましょう。コーヒーは豆の産地や焙煎度などでまったく味わいが異なるため、お気に入りの1杯を見つけるには専門店のバリスタさんに相談するのが最も近道だそうです。でもその前に、以下の簡単な2択の質問の答えを自分で用意しておくのがおすすめ。

コーヒーの味の表現はいろいろあるそうですが、「個性的」「落ち着いた感じ」など、ふわっとしたイメージだけでも伝わるのでプロに任せましょう。バリスタさんとのやりとりも楽しんでください。
コーヒー専門店で豆を買うと、豆の情報がパッケージに書かれていたり、資料のメモをもらえたりします。お気に入りの豆の情報をメモしておくと、違うお店に行ったときにも希望を伝えやすくなりますね。
自宅で大切なのは「量ること」
お気に入りの豆をゲットしたら、自宅でおいしく入れたいですね。笹川さんのアドバイスは「基本的なことですが、量れるものは量るのがベター」。家庭では、豆とお湯の量だけはきっちりと量りましょう。何gの豆に対してどれだけのお湯を注ぐのか、ということです。「個人的には、コーヒーの味は濃度と成分によって決まると思っていて、豆とお湯の比率は濃度に直結します。自分の好きな濃さで毎回入れるためには重要な部分です」と説明します。
注ぎ口のある耐熱計量カップがあれば、必要量のお湯を計量カップに入れて全量を注げばOK。耐熱計量カップがなければ必要量より若干多めのお湯を沸かすと良いです。「湯量が多少前後するかもしれませんが、そこは誤差の範囲内。楽しむことが一番だと思うので気にしなくても大丈夫」。スケールがあれば、サーバーとドリッパーをセットして、ドリッパーに粉を入れてから風袋引き(ゼロ表示にする)をして、お湯を注ぎ始めましょう。

コーヒーは買ったときに入っていた保存袋をそのまま使い、酸化を防ぎましょう。笹川さんは「空調が効いた部屋であれば戸棚に保存でOK。冷蔵庫だと他の食品のにおい移りが気になるのでおすすめしません」と話します。長持ちさせたいなら冷凍庫の方が良いそうです。必要な分量を取ったら、すぐに冷凍庫に戻します。
運命のカフェラテ
せっかくなので、笹川さんとコーヒーの出合いについてもうかがいました。
もともと、コーヒーは「苦いから好きではなかった」という笹川さん。カナダ留学中に飲んだカフェラテが〝運命の1杯〟になりました。そのカフェラテは、まったく苦みを感じさせず、イチゴとミルクのような風味がしたと言います。使われていたコーヒー豆はエチオピア産。エチオピアの豆はフルーティーな香りが特徴で、中にはイチゴのようなフレーバーを持つ豆もあるということは、後に勉強してから知ったことでした。

以来、抽出の技術や知識を磨く日々です。常にトライ&エラーを繰り返してより良い味を探るのが楽しいそうです。SLOWELL COFFEEでは今後、全国、海外のコーヒー店からさまざまな種類の豆を仕入れて提供していく予定といいます。
コーヒー巡りの楽しみは尽きることがなさそうです。この秋、自分好みのコーヒーをじっくり探してみませんか。

※営業時間などはインスタグラムを確認してください。