まずは気になるカラーから。全国のランドセルメーカーなどでつくる「日本鞄協会ランドセル工業会」が、この春入学した新1年生の保護者1500人に行ったアンケート調査によると、男の子は黒を購入した人が6割に上り、次いで紺、青の順でした。
この順番は、現在の方法で調査を開始した2019年から変わりませんが、黒の割合が年々減り、他の色への分散が進んでいます。

一方の女の子は、紫(薄紫含む)が2年連続の1位となり、次いで桃、赤という結果に。ことしは水色が特に増え、年々割合を減らしている赤に迫る勢いとなっています。
男の子のように特定の色が突出することもなく、好みがより分散していることが分かります。

最近ではペールブルーやグレージュといった「くすみカラー」も登場するなど、カラーバリエーションはどんどん豊富に。「『男は黒、女は赤』は昔の話。近年はジェンダーレス化が進み、男の子が赤を注文しても驚かなくなりました」と黒川鞄の代表取締役、黒川由朗さんは言います。

教材が増えて大型化
多色化に加えて大型化も進んでいます。学習指導要領の改訂に伴い、2011年春以降、教科書がB5判からAB判やA4判へサイズアップ。さらに英語やプログラミングの必修化、タブレット端末の導入などによって、子どもたちの持ち物はどんどん増え、「現在はA4フラットファイル(縦31㎝×横23㎝)が入るように設計された製品が主流です」とハシモトの広報担当、橋本和加代さんは話します。
こうなると心配なのがランドセルの重さ。各メーカーとも軽量化を図るとともに、肩ベルトを立ち上げたり、クッション材を厚くしたりすることで、ランドセル本体を体にフィットしやすくし、重量感を軽減させる工夫を施しています。

必要な機能 見極めて
さまざまな製品がある中で、どのように選んだらいいのでしょう。黒川さんは「色だけで選ぶ方もいますが、できれば『予算→素材→形→色』の順に決めるのがいい」と勧めます。
橋本さんも「最初からお子さんに見せてしまうと、見た目だけで選んでしまう。まずは大人が必要な機能を見極め、候補を絞った上で提示するといいですね」とアドバイス。「肩ベルトの構造なども、体形によって合う、合わないがある。できればショールームなどで実際に背負い、痛いところがないかを確認してほしい」と呼び掛けます。

以前は夏休みごろに検討を開始するのが一般的でしたが、近年は「ラン活」ブームを受けて早期化が進んでいます。
先ほどのランドセル工業会のアンケート調査によると、ランドセル購入時期のピークは、入学前年の5~8月。製造数に限りがある「工房系」ではさらに繰り上がり、黒川鞄の場合は「受注ピークは3月半ば。来春入学分は現時点で既に品薄状態です」と言います。
より多くの選択肢から選びたい人は、早めに検討を始めましょう。
