通りを行き交う人が思わず立ち止まる、曲面が特徴的な外観のD邸。
室内は白を基調とし、大きな吹き抜けが心地良い開放的な空間が広がる。
プライベートを重視した住まいで、家族4人が日々の暮らしを満喫している。

「カフェでもできたのかと思ったと、近所の人によく言われます」とほほ笑むご夫婦。美しい曲面を描くシルバーの外壁が目を引くD邸は、昨年6月に完成した。

曲面が特徴的な外観。外壁はシルバーのガルバリウム。向かって左手側に店舗入口を設けた
裏手には家族用玄関がある。木材を使用した柔らかな印象で、帰宅する家族を温かく迎える

白を基調とした室内は、大きな吹き抜けが開放的。曲面壁に沿って鉄骨階段が設けられ、おしゃれなギャラリーのような雰囲気が漂う。

曲面壁に沿って設けられた白い階段は、圧迫感を与えず自然と空間になじむ。店舗を備えた1階のパブリックスペースからダイニングを通り2階へ。流れるような動線で、徐々にプライベート感が増していく

1階は、ダイニングキッチンや浴室などの水回りを設けた。ジュエリー作家の奥さまの工房とショップスペースも併設し、今後、制作したジュエリーを販売する予定だ。2階は、家族がくつろぐリビングと主寝室、子ども部屋として2部屋に間仕切ることもできるロフト付きの洋室という間取り。

「人の目を気にせず、ゆったりくつろげる家にしたい」というご夫婦の思いから、窓の少ないプライベートを重視した造りになっている。そのため、天窓と2階リビングの北側に設けられた大窓から、吹き抜けを通して優しい光が1階まで届くよう採光が工夫された。しっとりと柔らかい表情を醸す和紙の壁には、プロジェクターでご主人や子どもたちが好きな映画が映し出され、家のどこからでも楽しめるよう、音響にもこだわった。

随所に曲面のある優しい雰囲気の室内。1階の床は、床暖房を完備した土間コンクリート。大雪が降った今冬でも、寒さは感じなかったそう(小さいお子さんがいるため、現在はジョイントマットが敷いてある)
リビングのカウンターからもホームシアターを楽しむことができる

1階のダイニング、キッチンカウンター、2階のリビング…。その日の気分に合わせて食事をする場所を変えるなど、生活の自由度が高いのも魅力の一つ。奥さまは特に、リビングで過ごすひとときがお気に入りの様子。「大きな窓からは、空しか見えないようになっていて、天候や時間によって表情を変えるのがおもしろいですね」。ご主人は収納棚を作ったり、外構のコンクリートを敷いたりするなど、暮らしをより快適にするためのDIYを楽しんでいる。唯一無二の個性あふれる住まいで、一家は温かな家族の時間を紡いでいる。

ワークスペースを広く取るため、シンクとコンロが並列したⅡ型キッチンを採用。キッチンはサンルームや浴室、家族用玄関ともつながり、動線にもこだわった
大きな窓から優しい光が差し込むリビング。アクセントとなるW型のブレースは、曲面壁と大梁でつながっており、家を支える背骨となっている

 

【取材協力】
水野行偉建築設計事務所
射水市東太閤山2-81
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