今回紹介する「ファミリー温泉ひらき」は自宅からも案外近くて、実は一人で何回か利用しているお気に入りの一つなんですが、息子を連れて行くのは初めてです。
常願寺川に架かる富立大橋のほど近くにあり、周辺には新興住宅地もあることから、親子連れも結構見られます。
息子は銭湯にあるマンガを読みたいようで、玄関をくぐるなり早速本棚を見つけると、私が券売機でチケットを買っている隙に大好きな「コロコロコミック」にかじりついています。こうなるといくら呼んでもなかなか動いてくれません。
頭を悩ませていると、「お兄ちゃん、後からたっぷり読めるよ~」と番台の田村正和さん(※本名です)が優しく助け船を出してくれました。
子どもの扱いにも慣れた様子。息子はその言葉を聞いて脱衣場へダッシュです。
田村さん、グッジョブ!
「ロマンの湯」「神秘の湯」とそれぞれしゃれた名前の浴場は、一日おきに男女が入れ替わります。
この日入ったのはロマンの湯です。
「お父さん、あれ見てよ」。脱衣場で息子が指さした先にあったのは、眉毛の書かれたピカチュウです。
吊るすタイプの虫よけですが、とぼけた表情に2人で吹き出してしまいました。
壁にはこのほか、富士山や常願寺川から撮影した立山連峰の美しい写真が飾られています。
浴場はシミ一つない白亜の天井が広がり、清潔感にあふれています。
私は息子の後を追って、ホース付きのシャワーが並ぶ浴場右側の洗い場へ。
一足先に全身を洗った息子は、勢いよくお湯が吹き出すジェット湯でくつろいでいます。
内湯はこのほかにも看板に掲げられている炭酸カルシウムの人工温泉風呂、泡湯、寝湯などがあり、バラエティに富んでいます。
続いて向かったのは露天風呂。こちらは内湯よりも少しぬるめでしょうか。
見上げれば白木の天井、そしてほど良い湯加減…、手足を伸ばしてゆっくりしようかなと思ったときでした。
息子のカウントダウンが始まりました。「ごじゅう…さん、にい、いち、ぜろ~」。
よほど読みかけのマンガが気になるのでしょうか。「先上がっとるよ」と言い残して上がってしまいました。
さて、息子がマンガを読む時間を考えると、今日はサウナと水風呂に入ってもよさそうです。
サウナは向かい合って座る構造で、腰掛部分にはすのこが敷かれています。定員は14人ほどでしょうか。
先客のおじさん2人と一緒に、備え付けのテレビでNHKニュースを見ながらじんわり汗をかいた後、隣にある水風呂へ。
すぐそばに水シャワーが設置され、快適に汗を流すことができます。そのせいか、水質もきれいです。
ザブンと肩まで浸かり、しばし瞑想…。
私の知る限りですが、結構冷たい部類に入りそうです。水温計は11度を指していましたが、田村さんによると必ずしも正確ではないとのことでした。
掃除が行き届いた脱衣場で着替えていると、先ほどサウナにいたおじさんが上がってきました。タオルで体の水を拭き切って一言。
「ごっそさん」。
思わず口をついて出たのでしょう。食べ物ではないけれど、いい風呂とサウナに癒されて「ごちそうさま」と言いたくなるその気持ち。
おじさん、分かるよ。
心で静かにつぶやいた夜なのでした。
【メモ】
〒930-0944 富山市開278
TEL. 076-492-2115
営業時間…10:00~22:00
定休日…金曜日
駐車台数…50 台
【料金】
大人(12歳以上) 420円
中人(6歳以上12歳未満) 130円
小人(6歳未満) 60円 ※毎週日曜日は無料
共通入浴回数券(11枚綴り) 4,200円