障害者の身体表現を追求してきたパフォーマンス集団「態変(たいへん)」が、人間の脳と身体、人工知能(AI)の関係を問う新作「BRAIN 2」を2月に大阪、5月に韓国・ソウルで上演する。主宰の金滿里は「発達したAIに人類はどう扱われるか。滅びるのか、先があるのか。徹底的にマイノリティーの位置から世界を見てみた」と語る。(共同通信=加藤駿)

 「脳からの指令ではとても動かないんですよ。身体障害者の体って」。1983年の創立以来、脳が身体を支配するという発想を否定し、身体を中心にした表現を追求してきた。「(体は)頭で考えることを必ず裏切る。だから細胞一つ一つに人格がある体の声を聞いてきた」

 だが昨年、愛知県で開催された国際芸術祭「あいち2025」で初演の「BRAIN」では、脳をテーマの中心に据えた。「脳も体の一部で、置いてきぼりはちょっと違うなって思った。それで脳の身体性を取り戻そうとした時、AIも問題にしたくなったんです」

 今作では人類の進化の流れに反し、直立二足歩行を選ばなかった「芋虫集団」を軸に、生命誕生からAIが監視する未来社会まで、38億年の生命史を横断。もう一つの進化の可能性を描き出す。

 芋虫集団は「無力さの象徴。地面に張り付き、すぐに踏みつぶされる」。このままでは、発達したAIが人間を管理し、多くの人々が「落ちこぼれ」になる未来がやって来るかもしれない。だが「芋虫は人間の価値を変えると思ってる。そんな存在が生きていける世界なら、多くの人も助かるはず」と問う。

 パレスチナ自治区ガザの状況も念頭に、作中ではAIと人間の戦争も勃発するという。果たして、芋虫集団に勝機はあるのか? 金は笑って語る。「まあ、AIいうても大したことないやん、ってことをどう描くのか。理屈でなく面白い。伝わるはずです」

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 「BRAIN 2」は2月20~23日に大阪・扇町ミュージアムキューブ、5月15~17日にソウル・Modu Art Theaterで公演。