スマートフォンを操作するだけでさまざまな商品が自宅に届くインターネット通販サービス。利便性の高さから市場は拡大の一途をたどり、2024年の日本市場の規模は10年前のおよそ2倍となる26兆円超に達した。アマゾンはその中でもひときわ存在感を放つが、「日本での浸透率はまだ10%前後で、拡大余地がある」。米巨大ITアマゾン・コムの日本法人トップとして黎明期から業界に携わるアマゾンジャパン(東京)のジャスパー・チャン社長(61)に単独インタビューし、サービス提供の在り方や今後の事業方針を聞いた。(共同通信=中尾聡一郎)
▽コストとサービスの両立目指す
―アマゾンが日本で事業を始めたのが2000年11月。25年間で日本でもアマゾンのサービスが浸透した。
「25年先がどうなるかを予測して歩みを進めてきたわけではない。お客さまを最も大事にする精神で25年にわたり、利便性を高めるためにサービスを一つ一つ改善してきた結果だ。『毎日が始まりの日』という姿勢を大切にしており、それはこれからも全く変わらない」
―米国の顧客需要とは異なる日本の需要を満たすため工夫したことは何か。
「米国や欧州のやり方を日本にそのまま持ってきて『これがアマゾンのサービスだ』と展開するようなことはしなかった。日本のお客さまのニーズを理解した上で、今あるアマゾンのサービスの中から何が提供できるのか、すぐに提供できない場合はどうすれば実現できるのかを社内で繰り返し議論してきた」
「象徴的な例が無料配送だ。お客さまには喜んでもらえるが、その一方でコストはものすごくかかる。何とか両立させるためにデータが少ない中でとにかく議論し、結果として1500円を(注文金額の)基準とすることで実現した。社内で議論し、お客さまのベストなサービスをつくっていった初期のエピソードとして印象に残っている」