世界的に人気のサッカー漫画「キャプテン翼」は、多くの読者を魅了してきた。1981年に「週刊少年ジャンプ」で連載が始まり、現在はウェブで連載が続く。世界的なスター選手にもファンが多い。作者の高橋陽一さんは、日本サッカーの黎明期からワールドカップ(W杯)優勝の夢を追う主人公、大空翼を描いてきた。作品への思いや、現実世界でW杯優勝を目標に掲げる日本代表へのエールを聞いた。(共同通信=大島優迪)
▽きっかけは高校3年のときに見た1978年W杯
東京都葛飾区出身。幼少期から絵を描くのが好きだった。小学5年ごろからノートに鉛筆で漫画を描き、当初は「ウルトラマン」を模して主人公が怪獣を倒す物語を作品にした。「世界で一冊の単行本」と称し、弟らに読んでもらって楽しんだ。故水島新司さんの野球漫画「ドカベン」が好きで、野球を題材に描くこともあった。漫画家になるのが目標となっていた。
中学時代は野球部がなく卓球部に、高校では野球部に入った。高校サッカーを漠然と見ることもあったが「サッカーにそれほど興味がなかった」と言う。しかし、高校3年時に見た1978年W杯アルゼンチン大会が「キャプテン翼」誕生のきっかけになった。
「闘牛士」と呼ばれたケンペスの活躍で地元のアルゼンチンが初優勝した大会。NHKで放送を見てサッカーの面白さに引かれた。
「フィールドとボールが1個あれば何をしてもいいという、野球にない自由さを感じた。そこから想像力を豊かにしてゴールを奪うというので、野球とは違う魅力が感じられた。世界のサッカーをいろいろと調べ、欧州や南米のどの国にもプロリーグがあると知って興味を持って見るようになった」
▽W杯は夢のまた夢、「日本に強くなってほしい」との願い込め
20歳で「キャプテン翼」の連載を始めた。当時、日本サッカーにはプロリーグがなく、W杯出場は夢のまた夢。それでも、西ドイツでは先駆者の奥寺康彦さんが1977年から9シーズンにわたって活躍するなど、日本選手の可能性を示していた。高橋さんは、世界一の選手を目指し、W杯で優勝する夢を持つ大空翼を主人公に据えた。
「日本サッカーがもっと強くなってほしいという思いがあった。サッカーは背丈にそんなに関係なくできる。(日本がW杯で勝つ)可能性が全くないわけではない。海外でプロになって活躍する選手が増えれば強くなれると思っていた」