宮内庁が10月9日に公開した「香淳皇后実録」。昭和天皇の后(きさき)、香淳皇后の97年の生涯について、計3828ページにわたり、1903(明治36)年の誕生から2000(平成12)年の死去までを時系列に記載している。昭和史を考える上で貴重な史料の中から、富山県に関わる記述を探して紹介する。

公開された「香淳皇后実録」(代表撮影)

巻6
▽213ページ
昭和31(1956)年9月12日(水)

去る十日富山県魚津市において火災(魚津大火)により甚大な被害発生につき、この日、天皇・皇后より同県に御救恤金を賜う。(賜与録、宮内庁庁報)
魚津大火を伝える1956年9月11日の北日本新聞
魚津大火を伝える1956年9月11日の北日本新聞

 魚津市で発生した火災が台風の影響で拡大し、「1200戸を焼く」大火となった。「ついに自衛隊出動」「さながら富山の戦災時」という見出しから被害の大きさが伝わってくる。

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