JR東日本の駅構内にある自動販売機。管理するJR東日本クロスステーションによると、東北、関東、甲信越で合計約1万台もある。このうち、2024年度の売り上げが最も多い自販機は東京駅の新幹線改札内にあり、しかもトップ10のうち9台を占める。長距離移動に備えて飲み物を買うという、当然と言えば当然の結果。ただ、JR東の支社(エリア)ごとに見ていくと、意外な駅が上位に続々と登場する。取材で判明したランキングと、知られざる駅の自販機のトリビアをお伝えしたい。ちなみに、トップ10のうち、東京駅新幹線改札内にない唯一の自販機はある駅のホームにある。どの駅の何線のホームにある?(共同通信=宮本寛)

 ▽売れているのは水とお茶。3位は?

 JR東クロスが管理する約1万台のうち、2024年度に1台当たり「月300万円超え」という驚異の売り上げをたたき出したのは4台ある。

 売り上げトップ3はすべて、東京駅の南北にある新幹線改札に入ってすぐの場所に鎮座している。道路脇にある自販機で「優秀」とされる売上額は月7万円程度といい、いかに稼いでいるかが分かる。

 何が売れているのかも気になるところだ。取り扱う商品数は120~130種類に上るが、1位は「From AQUA 谷川連峰の天然水(550ml)」。2位は「日本の茶事(525ml)」。両製品のサイズが小さいものも4位と5位だ。水とお茶がよく売れている。ちなみに3位は大塚製薬の「オロナミンC」だった。

 特定の季節に売れる商品もある。8月は2位に「健康ミネラル麦茶」が入り、12月は「特濃コーンポタージュ」が3位となった。

 ▽予想通りの東北

 ここからはエリアごとに見ていこう。まず東北は、予想通りの結果となった。仙台エリアの1位は仙台駅新幹線ホーム上。盛岡エリアは盛岡駅のコンコースを筆頭に、2位青森、3位盛岡、4位新青森の各コンコース。秋田エリアも秋田駅コンコースが1位と3位。2位は弘前駅コンコース。東北ではないが、新潟エリアも新潟駅コンコースがワン・ツー。いずれも県庁所在地で利用者が多く、「新幹線に乗る前に」という需要が要因か。ホームよりコンコースが上位なのは、寒さのせいだろう。

 一方、長野エリアを見ると、なぜか長野駅は上位に来ない。

 1位は松本駅のホーム。新幹線こそ通っていないものの、特急「あずさ」など登山客の人気が高い。2~4位はすべて軽井沢駅。新幹線も停車する軽井沢は、言わずと知れた避暑地・別荘地。通勤・通学より観光客の需要の方が大きいのかもしれない。

 ▽意外性だらけの首都圏

 首都圏はどうだろうか。

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