富山県南砺市井波の南砺市民病院で29日、医療従事者らでつくる団体によるミュージカル公演が行われた。患者やその家族、職員らに癒やしや笑顔を届けようと企画。観客約60人は歌や踊りを楽しみながら、他人を思いやる力強いメッセージに触れた。
企画したのは、県立中央病院に研修医として勤務する伏江真彩(まあや)さん(27)=高岡市出身。アートと医療を融合させ、リハビリや治療に向き合う患者に寄り添いたいと、昨年県内の有志と共に「病院にミュージカルを届けようプロジェクトin富山」を立ち上げた。今回はその活動の一環で、初めての公演。
演目は「桃四郎の鬼退治」。病院や福祉施設でミュージカルを上演する団体「キャトル・リーフ」(千葉県)のオリジナル脚本で、かつて伏江さんが同団体に所属した縁から提供を受けた。親交のある東京の劇団「ダイナモス」のメンバーと共に計17人で演じた。
物語は、鬼退治に出かけた桃四郎が鬼の優しさに気づき、仲間と共に意地悪な地主をこらしめる内容。歌やダンスを交え、互いの違いを認め合う大切さを伝えた。最後は出演者と観客が一緒にテーマソングを合唱し、締めくくった。
伏江さんは「終演後の皆さんの笑顔が全て。『涙が出た』といった声も聞けた。これからも活動に取り組みたい」と話した。