富山県小矢部市下後亟(しもごぜ)に伝わる奇祭「酒とり祭」が27日、地元の神明社で行われた。ふんどし姿の男性たちが参拝客にお神酒(みき)を飲ませたり境内にまいたりし、無病息災と五穀豊穣(ごこくほうじょう)を祈願した。
神事と獅子舞に続き、ふんどしに白のはちまきを締めた地元青年会員やOBら20~40代の約20人がひしゃくを手に鳥居の下に集合。太鼓の合図で甲高い声を上げながら勢いよく走り出した。拝殿に駆け上がり、ひしゃくにお神酒を入れてもらうと、境内に戻って参拝客に飲ませ、空にまくなどした。
男性たちは拝殿と境内を何度も行き来し、用意された分がなくなるまで続けた。最後に一本締めをした。
青年会長の山室達哉さん(26)は「自分も含め幸せを分け与えることができた」と笑顔を見せた。下後亟区長の小倉秀成さん(66)は「コロナ前に近いくらいの元気と勢いがあった」と満足げに話した。
祭りは下後亟神明社の春季例祭に合わせて行う。300年以上前から続くと伝わる。