黒部峡谷鉄道(黒部市黒部峡谷口)は20日、宇奈月-柳橋駅間(2・1キロ)で今年のトロッコ電車の営業運転をスタートさせた。外国人を含む大勢の観光客が雄大な景色を満喫した。(芦田周)
能登半島地震による落石でルートにある鐘釣橋が損傷したため、昨年から鐘釣橋手前の猫又駅で折り返し運転している。今年は沿線に雪が多く残っており、まずは宇奈月駅の一つ先にある柳橋駅との間で運転を始めた。
宇奈月駅のホームでセレモニーがあり、地元の有志でつくる「桃の会」が「宇奈月温泉小唄」を披露。黒部峡谷鉄道の鈴木俊茂社長が「欅平までの全線開通ができず心苦しいが、見どころはたくさんある」とあいさつし、武隈義一黒部市長と川端康夫黒部・宇奈月温泉観光局代表理事が「たくさんの人に楽しんでほしい」と述べた。
同社の沖村英史運輸部長が、安全運行を願って村澤隼平運転士に鍵のオブジェを贈呈。宇奈月温泉の女将(おかみ)でつくる「かたかご会」の延対寺晶子代表が勝田裕貴車掌に花束を贈った。女将らに見送られて約500人の観光客を乗せたトロッコ電車が出発し、新山彦橋などからの眺めを楽しんだ。
5月3日に笹平駅、同10日に猫又駅まで、それぞれ運転区間を延長する。今年の営業は11月30日までを予定している。