大阪・関西万博が4月13日に幕を開けた。10月13日までの184日間にどんな出会いが生まれ、未来に何をもたらすのか。専門家や関係者に聞いた。(共同通信=大阪・関西万博取材班)

「そこにある強さ感じて」―建築家の永山祐子さん

 万博は、技術革新を見せる場から「出会いによって未来を創る場」へと意味合いが変化している。国を挙げて盛り上げる機会は、万博とオリンピックくらいしかない。政府も民間も、国際イベントの開催地として与えられたチャンスを生かしてほしい。

 万博は理想と現実のはざまだ。既存の法規制では難しいようなことも、半年の短期間イベントだからこそ挑戦できる。新しかったり、浸透していなかったりする考え方や技術を面白がって実験し、社会へのメッセージとなれば、将来的に実装されるかもしれない。

 前回のドバイ万博で使用した建材を大阪・関西万博でリユースできたのも、仮設だったからだ。建築が時と場所を超えて動き、建つ場所に合わせて変化する。次はどこで、どこまでつなげられるか。「限られた資源の中で、どう循環を考えるか」が当たり前になる未来へと向かえたらいい。

 建築家がベテランから若手まで集まり、他国の建築家や建造物に触れる。日本の建築業界にも、これまでになかった気づきが生まれるだろう。実際に開幕前の会場を歩いて回るだけで「こういう物を造るんだ」「これは面白いな」と楽しい。建築に興味がなかった人にも面白いと思ってもらえる建造物ばかりだ。

 現地での体験こそが、何よりも意味を持つ。街と同様、いろいろな人がいろいろな思いやコンセプトを込めて設計した「エキスポシティ」が広がっている。足を運び「そこにあるということの強さ」を感じてほしい。

 そして日常生活で建築を見る目が変わったり、「自分にも造れるのではないか」と建築家になるきっかけになったり。特に子どもや次世代が感じて、明るい未来を見据えて前向きに進んでくれたらいい。

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 ながやま・ゆうこ 1975年生まれ。東京都出身。1級建築士。東急歌舞伎町タワー外装などを手がけた。ドバイ万博で日本館、大阪・関西万博ではパナソニック館とウーマンズパビリオンの設計を担当。

 

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