立山トンネルも紹介

 15日に全線開通した立山黒部アルペンルートの玄関口・立山駅に隣接する立山カルデラ砂防博物館(富山県立山町芦峅寺)は同日、昨シーズンで運行を終えたトロリーバスをテーマにした特別展をスタートした。室堂-大観峰駅間3・7キロを結ぶ「立山トンネル」を走ったトロリーバスの貴重な部品などと共に、難工事の末に開通した同トンネルにもスポットを当てた初の企画展で、歴史などを詳しく伝えている。

 立山黒部貫光の協力を得て開いた。鉄道に分類されるトロリーバスの線路設備や車両の仕組み、安全対策について、各種機器を並べて解説。電気を取り入れるポールや脱線事故防止の機器などの役割を紹介している。

 運転席を再現した記念写真コーナーや、機器の仕組みを触って学べる体験コーナーも充実。1996~98年の3年間だけトンネル途中の旧雷殿駅への降車用に活用された、トロリーバス車両の“幻の降車ボタン”を押して、どんな音が鳴るのかを体感できるコーナーもある。

 同ルート開通に情熱を注いだ立山黒部貫光創業者の故佐伯宗義氏の理念も紹介。立山トンネルの展示では、66年の工事開始から69年に貫通するまでの経過などをまとめた。トンネルは、軟弱地盤を避けるための大きなカーブが複数あることを紹介。雄山直下約600メートルに立山断層が走る「破砕帯」をはじめ、軟弱地盤の掘削を乗り越えた当時の工法も解説している。

 丹保俊哉学芸課長補佐は「立山トンネルは、関電トンネルに比べて注目される機会が少ない。アルペンルートを訪れる前に、ぜひ立ち寄ってほしい」と話す。特別展は6月8日まで。観覧無料。