富山大付属病院(富山市杉谷、山本善裕病院長)は14日、心と体の性が一致しない性別不合の当事者に対する医療の質を向上するため、クラウドファンディング(CF)を始めた。寄付金は、ジェンダー医療に特化した国際的な評価基準「GENDER-Q」の国内初となる日本語版の開発などに充てる。第1目標額は300万円で、6月12日まで募る。
14日、富山大付属病院が記者会見して説明した。
同病院は2021年、性別を適合させる外科治療を行う「ジェンダーセンター」(佐武利彦センター長)を開設。センターは24年に日本GI(性別不合)学会の認定施設になり、一部手術で医療保険が適用できるようになった。
同病院によると、国内には現在、外科治療を受けた後の効果や満足度を評価するための共通の指標がない。そのため、当事者の細かなニーズがつかみにくいことなどが課題になっているという。国際的には「GENDER-Q」と呼ばれる指標が使われており、日本語版を開発しようと、富山大医学部の細井遊布(ゆふ)さん(6年)とズッカーマンまやさん(同)がCFを発案した。
資金を活用し、全国の医療機関と連携して当事者にインタビューし、意見を取り入れた形で翻訳に取り組む。十分な資金が調達できた場合、全国の当事者を対象にした実態調査も行いたい考え。
この日、会見に臨んだ細井さんは「治療のハードルを下げたい」、ズッカーマンさんは「当事者の思いをくみ取りながら、治療の方針を提案したい」と意気込みを語った。申し込みはCFサイト「READYFOR(レディーフォー)」で受け付ける。