富山県西部を拠点に、歌やダンスを通じたボランティア活動に取り組むNPO法人「大空へ飛べ」(谷口徹理事長)は12日夜、高岡市ふれあい福祉センターで、9月のコンサートに向けて練習をスタートした。戦後80年の今年は平和がテーマ。参加メンバー約80人が市内の女性から戦時中の体験も聞き、平和の大切さを心に刻んで練習に打ち込んだ。

 コンサートは9月21日、小矢部市のクロスランドおやべであり、戦争にまつわる合唱曲「ぞうれっしゃがやってきた」を上演する。戦時を生き抜いたゾウを子どもたちに見せるために運行された特別列車の曲で、歌に寸劇を交えて披露する。

 12日は、3~83歳のメンバーが集まり、物語に理解を深め、歌や踊りを交えて練習した。平和を願う合唱曲「折り鶴」も歌い、振り付けの手話も学んだ。

 当日はコンサートに続き、高岡市清水町の松井千代子さん(89)が戦争体験を伝える。この日、練習会場に訪れた松井さんは、軍艦を攻撃されて亡くなった兄のことをメンバーに話した。

 「厳しい父、優しい母、私たち姉妹も全員が大声で泣いた」と振り返り、家族を亡くした悲しみを語った。「子どもや孫に同じ思いをさせたくない。みんなで平和を願いましょう」と呼びかけた。

 松井さんの体験を聞いたメンバーの女子高校生(15)は「平和を願う気持ちを歌やダンスで伝えたい」と話した。