保険適用外、助成求める声
抗がん剤治療の副作用の一つである頭部の脱毛に悩む乳がん患者向けに、県内の病院で、治療時に専用の装置を用いて頭皮を冷やす療法が取り入れられている。頭部の血流を抑えるといった方法で薬剤が毛根に与えるダメージを減らす効果がある。一方、この療法には保険が適用されておらず、医療関係者は普及に向け助成を求めている。
抗がん剤治療では、血液を通じて薬剤を全身に運ぶ。ただ、がん細胞だけでなく体内で急速に分裂する全ての細胞に影響を与えるため、さまざまな毛が抜けるという。特に毛髪が抜ける副作用に悩む女性は多く、砺波総合病院のアピアランスケア外来には以前から「女性らしさがなくなる」といった切実な声が寄せられていた。
装置は、冷却機能を備えた本体とシリコン製のキャップからなり、抗がん剤治療中とその前後にかぶる。本体から冷却液が管を通じてキャップに流れると血流が抑えられるなどの効果があり、毛髪への影響が軽減される。
同病院では昨年5月以降、11人が利用した。小矢部市の50代女性は「治療前後で髪の質が変わらず、やって良かった」と話す。
県内ではこのほか、富山大付属病院、済生会高岡病院、厚生連高岡病院など4病院で導入されている。ただ保険が適用されず、砺波総合病院では1回の処置料が1万円。10万円近いキャップを個別で購入する必要もあり、負担は大きい。
同病院乳腺センター所長の野崎善成さん(54)は「脱毛の悩みが改善されれば心も前向きになり、生活の質にも直結する。患者のために制度を整えてもらいたい」と話している。