厚生連高岡病院(富山県高岡市永楽町)は、不整脈の一種である心房細動の最新治療法「パルスフィールドアブレーション(PFA)」を県西部の病院で初めて導入した。心臓内の血管にカテーテルと呼ばれる細い管を挿入し、高電圧のパルスフィールド(電場)を作ることで組織を直接治療する。従来の治療法より手術時間を短縮でき、周辺の臓器への影響や合併症を防ぎやすい利点があるという。

 同病院では不整脈のカテーテル治療が年間350件前後行われ、うち8割を心房細動の患者が占める。従来は、心房につながる肺静脈の周辺組織を焼いたり、冷たいガスで組織を壊死(えし)させたりする治療が行われてきたが、食道や横隔膜への影響が課題だった。

 PFAは肺静脈周辺の心筋細胞を壊死させ、不整脈を起こす異常な電気信号を遮断する。心筋は他の臓器の細胞や組織よりも少ない刺激量で壊死するため、周辺への悪影響が低減されるという。

 PFAは2024年9月から保険適用となり、同病院は必要な医療機器の整備や医師の研修を進め、25年1月下旬に導入した。3日時点で7人の患者が治療を受け、月に20人前後の利用を見込む。

 循環器内科の藤本学診療部長(59)は「PFAは安全性が高く治療後の違和感もないため、全国的に広がると思う」と話している。